投資のリスク許容度を金額で測る方法|下落率別の損失早見表と投資額の決め方の巻

投資に関する知識や考え方

投資額を決めるとき、「できるだけ増やしたい」「毎月いくら積み立てられるか」から考える方は少なくありません。しかし、先に確認すべきなのは、値下がりしたときに生活と気持ちを保てる金額です。

リスク許容度は、年齢や性格だけでは決まりません。収入、預貯金、家族構成、投資期間、近い将来の支出、値下がりへの感じ方を合わせて判断します。この記事では、下落率を円に換算し、無理のない投資額の上限を考える方法を具体的に解説します。

結論

  • 生活費、生活防衛資金、数年以内に使うお金を先に預貯金で分ける
  • 「何%下がるか」ではなく「何円減るか」で考える
  • 計算上の上限より、眠れなくならず保有を続けられる金額を優先する
  • NISAや積立投資を使っても元本割れはなくならない

リスク許容度とは

リスク許容度とは、投資の価格が上下する中で、どの程度の損失までなら生活や計画を崩さずに受け入れられるかを示す考え方です。「高い利益を望む気持ち」ではありません。

判断には、次の2つの面があります。

確認する内容
家計上の余力収入、預貯金、支出、投資期間から見て、損失を負っても生活を維持できるか
心理上の余力評価額が下がっても、慌てて売らず、仕事や睡眠へ影響させずにいられるか

家計に余力があっても、値下がりが強いストレスになる人はいます。反対に、値動きへ抵抗がなくても、数年以内に使う予定のお金なら投資へ回せません。低い方へ合わせて投資額を決めます。

下落率を損失額へ換算する早見表

株式を含む投資信託は大きく値下がりすることがあり、長期間保有すれば必ず購入額へ戻る保証もありません。まず、複数の下落場面を仮定して円に換算します。

投資額10%下落20%下落30%下落50%下落
10万円1万円減2万円減3万円減5万円減
50万円5万円減10万円減15万円減25万円減
100万円10万円減20万円減30万円減50万円減
300万円30万円減60万円減90万円減150万円減
500万円50万円減100万円減150万円減250万円減

50%下落は「必ず起きる予測」でも「最大損失」でもなく、耐えられる範囲を考えるための厳しい仮定です。株式や投資信託では、状況によって投資元本の大部分を失う可能性もあります。

許容できる損失額から投資額の上限を試算する

仮の下落率と、受け入れられる損失額を決めると、次の式で投資額の目安を試算できます。

投資額の試算 = 許容できる損失額 ÷ 想定する下落率

例:30万円の損失まで受け入れられ、50%下落を仮定する場合
30万円 ÷ 0.5 = 60万円

この60万円は推奨額ではなく、単純なストレステスト上の数字です。投資先の値動き、家計の変化、税金や費用、心理的な負担はこの式だけでは表せません。実際には計算結果より少ない金額から始めます。

投資額を決める7ステップ

1.毎月の最低生活費を把握する

家賃、食費、光熱費、通信費、保険料、最低限の返済など、収入が減っても必要な支出を確認します。通常月だけでなく、税金や更新料など年間の支出も含めます。

2.生活防衛資金を預貯金で分ける

失業、病気、休職などへ備えるお金は、投資口座とは別に確保します。必要額は働き方、家族構成、住居、持病などで変わるため、一律の月数だけで決めません。

3.数年以内に使うお金を除く

住宅、教育、車、医療、介護など、使う時期が近いお金は値動きの大きい投資へ回しません。相場下落時に売却を迫られないようにするためです。

4.投資目的と期間を決める

「老後の生活費を補う」「15年以上先の資産形成」など、目的と使う時期を決めます。目的がないまま始めると、値下がり時に続ける理由を見失いやすくなります。

5.損失額を円で決める

評価額が何円まで減っても、生活費を取り崩さず、予定を変えず、眠れなくならずにいられるかを考えます。家族の共有財産なら、一人で決めずに認識をそろえます。

6.厳しい下落場面で試算する

株式中心なら、10%だけでなく30%や50%など複数の下落場面を表で確認します。債券を含めた資産配分でも値下がりはあり、過去と同じ動きになる保証はありません。

7.少額から始めて反応を確認する

計算上は投資できても、実際に数万円下がると強い不安を感じる場合があります。少額から値動きを経験し、家計と気持ちの両方で続けられるかを確認します。

投資額だけでなく資産配分も調整する

同じ100万円を投資しても、株式だけに集中する場合と、値動きの異なる資産を組み合わせる場合では変動の大きさが異なります。リスクを下げたい場合は、次の順で考えます。

  1. 投資へ回す総額を減らす
  2. 株式など値動きの大きい資産の割合を下げる
  3. 国・地域・企業を広く分散する
  4. 使う時期が近づいた資金を預貯金などへ移す

分散投資は一つの投資先へ集中する危険を抑えますが、元本割れをなくす方法ではありません。商品数を増やしても、同じ投資先が重なっていれば十分に分散できていない場合があります。

低コストの分散型投資信託を基本候補にする理由

余裕資金で長期投資を始める場合、購入時手数料がなく、信託報酬が低く、多くの国や企業へ広く分散されたインデックス投資信託は比較しやすい基本候補です。

高い手数料は、運用成績に関係なく負担になります。複雑な仕組みの商品、毎月分配を強調する商品、内容を説明できない商品を無理に選ぶ必要はありません。目論見書で投資対象、リスク、手数料を確認します。

NISAと積立投資で変わらないこと

  • NISAは運用益を非課税にする制度で、元本保証ではない
  • 積立投資は購入時期を分ける方法で、損失を防ぐものではない
  • 長期投資でも利益が保証されるわけではない
  • 非課税枠を使い切るために、生活費まで投資する必要はない

制度を使うかどうかより、先に投資額と商品を適切に決めることが重要です。

3つの事例で試算する

以下は考え方を示すための架空事例で、特定の商品を勧めるものではありません。

事例A:投資可能額はあるが、10万円の損失が怖い

家計上は100万円を長期投資へ回せても、20万円減ると売ってしまいそうなケースです。計算上の余力ではなく心理面へ合わせ、投資額を小さくします。まず10万円など少額で値動きを経験し、増額は後から判断します。

事例B:余裕資金100万円、許容損失30万円

50%下落を仮定すると、式による上限は60万円です。余裕資金が100万円あるからといって全額を投資せず、60万円以下から検討します。残りは預貯金で持ち、家計変化に備えます。

事例C:5年後に介護費として使う可能性がある

金額上は損失に耐えられても、使う時期が比較的近く不確定なケースです。必要になる可能性がある部分は投資へ回さず、預貯金などで確保します。リスク許容度は気持ちだけでなく、使う時期も含めて判断します。

リスク許容度を見直すタイミング

  • 結婚、出産、離婚、家族の独立
  • 転職、退職、収入の減少
  • 住宅購入や大きな借入
  • 病気、休職、親や自分の介護開始
  • 投資額が増え、下落時の損失額が大きくなったとき
  • 投資目的や使う時期が変わったとき

年1回程度の定期確認に加え、生活が変わったときはその都度見直します。相場が上がったから許容度が高くなった、下がったから低くなったと判断するのではなく、家計と目的を基準にします。

投資を止めて家計を優先するサイン

  • 生活費を補うために投資資産を売却している
  • カードローンやリボ払いなどの返済が重い
  • 生活防衛資金が不足している
  • 数年以内に必要な資金まで投資している
  • 値動きが気になり、睡眠や仕事へ影響している
  • 家族へ隠して共有財産を投資している

当てはまる場合は、増額や新しい商品選びより、積立停止・減額を含めて家計を整えることを優先します。

まとめ:投資額は利益ではなく損失から逆算する

  • 守るお金と数年以内に使うお金を先に分ける
  • 複数の下落率を円に換算する
  • 許容損失額から投資額を試算する
  • 家計上と心理上の低い方へ合わせる
  • 少額から始め、生活の変化で見直す

投資できる金額と、安心して続けられる金額は同じとは限りません。非課税枠や周囲の投資額ではなく、自分の生活を守れる範囲で決めてください。

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本記事は投資判断の考え方に関する一般的な情報で、特定の金融商品や投資額を推奨するものではありません。投資には元本割れなどのリスクがあり、将来の成果は保証されません。制度や商品の最新情報を公式資料で確認し、最終的な判断はご自身の家計、目的、投資期間、リスク許容度に応じて行ってください。

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