訪問看護とは?介護保険・医療保険の違い、料金、利用方法を社会福祉士が解説の巻

介護に関する知識や考え方

こんにちは。地域包括支援センターで10年以上勤務している社会福祉士のロックです。

退院後の体調管理、点滴やカテーテルの管理、床ずれの処置、自宅での看取りなどが必要になると、「家族だけで対応できるだろうか」「訪問看護は介護保険と医療保険のどちらを使うのか」と迷うことがあります。

訪問看護は、主治医の指示に基づき、看護師等が自宅を訪問して療養上の世話や診療の補助を行うサービスです。利用には主治医の判断が必要で、使う保険や料金は年齢だけでなく、要介護認定、病気、状態、訪問時間、回数、加算によって変わります。

この記事では、2026年7月時点の公的情報をもとに、訪問看護でできること、介護保険と医療保険の違い、利用までの手順、料金の確認方法、事業所選びを整理します。

この記事でわかること

  • 訪問看護の役割と利用できる人
  • 介護保険と医療保険の基本的な違い
  • 訪問看護でできること・できないこと
  • 相談から利用開始までの6つの手順
  • 料金を月額で確認する方法
  • 訪問看護ステーションを選ぶ10項目
  • 急変時に確認しておきたい連絡先

訪問看護とは

訪問看護は、病気や障害がある人の自宅へ看護師等が訪問し、主治医の指示に基づいて療養生活を支えるサービスです。高齢者だけの制度ではなく、子どもから高齢者まで、主治医が必要と認めた人が対象になり得ます。

介護保険の訪問看護について、厚生労働省は、心身機能の維持回復などを目的として、看護師等が主治医の指示に基づき療養上の世話や診療の補助を行うサービスと説明しています。

厚生労働省「どんなサービスがあるの? 訪問看護」

訪問看護の開始には、介護保険・医療保険のどちらを使う場合も、原則として主治医が交付する訪問看護指示書が必要です。訪問看護ステーションは、本人の希望、主治医の指示、心身の状態を踏まえて訪問看護計画書を作成し、内容を本人や家族へ説明します。

訪問看護で受けられる主な支援

支援具体例
健康状態の観察体温、血圧、脈拍、呼吸、食事・排泄・睡眠、症状の変化を確認
療養上の世話清拭、洗髪、入浴支援、排泄支援、食事・水分の相談
医療的ケア主治医の指示に基づく点滴、注射、在宅酸素、カテーテル、ストーマ、創傷・褥瘡の管理
服薬支援薬の保管・飲み忘れの確認、副作用や体調変化の共有
リハビリテーション生活動作、移動、呼吸、嚥下などの支援。事業所の体制や計画により専門職が訪問
認知症・精神面の支援生活リズム、症状、家族の対応方法を確認し、医療・介護職と連携
看取り・終末期支援苦痛や体調の観察、家族支援、主治医との連携、緊急時の連絡調整
家族への支援介護方法の助言、医療機器の扱い、介護負担や不安の相談

実際に受けられる内容は、主治医の指示、本人の状態、訪問看護計画、事業所の人員・設備によって異なります。「訪問看護なら何でも頼める」と考えず、契約前に支援内容を書面で確認してください。

訪問看護でできないこと・別の支援が必要なこと

  • 医師の代わりに診断や治療方針を決めること:症状の変化は主治医へ報告し、指示を受けます。
  • 訪問中以外も常に付き添うこと:24時間対応の届出や契約があっても、看護師が常駐する意味ではありません。
  • 医療と関係のない家事全般:掃除、調理、買い物等は訪問介護や保険外サービスの対象になる場合があります。
  • 事業所の体制にない医療処置:夜間対応、特定の医療機器、看取り等の対応範囲は事業所ごとに違います。
  • 救急要請が必要な状態への通常訪問:意識障害、強い呼吸困難、激しい胸痛など生命の危険が疑われる場合は119番を優先します。

訪問介護との違いを確認したい方は、訪問介護でできること・できないことも参考にしてください。

介護保険と医療保険は自由に選ぶわけではない

訪問看護には介護保険と医療保険がありますが、本人が料金だけで自由に選択する仕組みではありません。要介護認定、年齢、病気、急性増悪、終末期などの条件により、適用される保険を主治医、ケアマネジャー、訪問看護ステーション、保険者が確認します。

確認項目介護保険の訪問看護医療保険の訪問看護
主な対象要支援・要介護認定を受け、ケアプラン等に訪問看護が位置づけられた人介護保険の対象でない人、または病気・状態等の条件により医療保険が適用される人
必要なもの主治医の指示書、ケアプラン等主治医の指示書
自己負担介護保険負担割合証に応じて原則1~3割。加算等が加わる年齢・所得・医療制度等に応じた負担。訪問回数や管理料・加算等で変わる
回数・時間ケアプランと支給限度額、本人の必要性に基づく医師の指示、病状、制度上の算定条件に基づく
相談先主治医、ケアマネジャー、地域包括支援センター、訪問看護ステーション主治医、医療ソーシャルワーカー、訪問看護ステーション、保険者

要支援・要介護認定がある場合は介護保険が優先されることが基本ですが、厚生労働大臣が定める疾病等、急性増悪等で特別訪問看護指示書が交付された期間など、医療保険になる場合があります。個別の適用は自己判断せず、利用開始前に確認してください。

利用料金は「1回いくら」だけで判断しない

旧記事では「1回1,000円前後」と紹介していましたが、これはすべての利用者に当てはまりません。訪問看護の自己負担は、次の条件で変わります。

  • 介護保険か医療保険か
  • 本人の負担割合・所得区分
  • 訪問看護ステーションか病院・診療所からの訪問か
  • 訪問時間、回数、訪問する職種
  • 早朝・夜間・深夜、緊急時、特別管理などの加算
  • 交通費、衛生材料費、キャンセル料などの保険外費用
  • 高額介護サービス費、高額療養費、公費負担医療等の対象になるか

月額の見積もりで確認する

  1. 利用する保険と負担割合を確認する
  2. 1回の時間、月の予定回数、訪問職種を決める
  3. 予定される加算を名称ごとに確認する
  4. 交通費・材料費・キャンセル料を確認する
  5. 同じ月に使うほかの介護・医療サービスを含めて、負担軽減制度の対象を確認する
  6. 契約前に月額見込みを書面でもらう

介護保険の基本的な利用者負担と概算は、厚生労働省の訪問看護の説明介護サービス概算料金の試算で確認できます。実際の金額は事業所の重要事項説明書と見積書で確認してください。

訪問看護を利用するまでの6つの手順

  1. 困っていることを整理する:体調、医療処置、服薬、入浴、排泄、家族の不安、夜間の困りごとをメモします。
  2. 主治医や相談窓口へ伝える:要介護認定がある人はケアマネジャー、認定前なら地域包括支援センター、入院中なら病院の退院支援担当者にも相談します。
  3. 訪問看護の必要性と保険を確認する:主治医の判断、認定、病気・状態から介護保険または医療保険を確認します。
  4. 事業所を選ぶ:対応できる医療処置、営業日、緊急時、看取り、訪問地域、費用を比べます。
  5. 主治医が指示書を交付する:訪問看護ステーションが指示書を受け、本人の状態を確認します。
  6. 計画・契約・利用開始:目標、訪問回数、支援内容、連絡方法、料金、見直し時期の説明を受けて契約します。

介護保険の申請が必要な方は、介護保険の申請から要介護認定までの流れをご覧ください。ケアマネジャーへの相談方法は、ケアマネジャーの役割と相談のコツにまとめています。

事業所を選ぶ10の確認項目

  1. 現在必要な医療処置へ対応できるか
  2. 営業日・時間と訪問可能地域
  3. 緊急連絡の受付時間と、実際に訪問できる条件
  4. 夜間・休日、24時間対応体制の有無と追加費用
  5. 看取り、認知症、精神科、小児、難病等の対応経験
  6. 看護師、保健師、准看護師、リハビリ専門職等の体制
  7. 主治医、ケアマネジャー、薬局、訪問介護との連携方法
  8. 担当者が不在のときの代替体制
  9. 月額見込み、加算、交通費、材料費、キャンセル料
  10. 苦情・事故時の窓口と、契約終了・事業所変更の手順

「24時間対応」と書かれていても、いつでも通常訪問を受けられる意味とは限りません。電話相談、緊急訪問、主治医への連絡の条件と費用を具体的に確認します。

初回相談で伝える内容

  • 主な病気、治療、退院日、主治医・医療機関
  • 現在の症状と、いつから何が変わったか
  • 点滴、酸素、カテーテル、ストーマ、傷などの医療処置
  • 薬の種類、飲み忘れ、副作用への不安
  • 食事、水分、排泄、睡眠、移動、入浴の状況
  • 本人が自宅で続けたい生活
  • 家族ができること・難しいこと
  • 夜間・休日に困っていること
  • 要介護認定と負担割合証の有無
  • 緊急時に連絡してほしい家族

電話での伝え方例
「父が来週退院します。自宅では在宅酸素と服薬管理が必要です。母だけで対応することに不安があります。主治医から訪問看護を勧められました。利用する保険、開始までの手順、夜間の連絡方法、月額の見込みを相談したいです」

社会福祉士として感じる早めの相談の大切さ

相談現場では、退院直前になって家族が初めて医療処置の多さを知り、「家に帰ってから考えよう」と準備が間に合わないことがあります。反対に、退院前から病院、主治医、訪問看護、ケアマネジャー、家族が役割を確認すると、本人の希望と家族が続けられる支援を調整しやすくなります。

たとえば、毎日の処置をすべて家族が担う前提だったケースでも、訪問看護が行うこと、訪問介護へ相談すること、家族が行うこと、緊急時だけ医療機関へ連絡することを分けると、負担の見通しが立ちます。

この例は複数の相談で見られる状況をもとに内容を組み替えたもので、特定の個人を示すものではありません。

急変時の連絡方法を利用前に決める

状況基本的な行動
生命の危険が疑われる119番。訪問看護の通常連絡だけで待たない
主治医から緊急時の具体的な指示がある指示された医療機関・連絡先へ連絡
緊急訪問の契約対象となる症状訪問看護ステーションの緊急連絡先へ連絡
介護方法や翌日の対応を相談したい営業時間内に事業所・ケアマネジャーへ相談

緊急時の判断は病気や療養方針によって異なります。利用開始時に、どの症状なら119番、主治医、訪問看護のどこへ連絡するのか、紙に書いて見える場所へ置いてください。

よくある質問

要介護認定がなくても利用できますか?

医療保険の対象となる場合は利用できる可能性があります。主治医へ相談し、病気・状態・年齢・加入する保険を訪問看護ステーション等と確認してください。要介護認定が必要な状況では、地域包括支援センターへ申請も相談できます。

家族だけでも相談できますか?

相談できます。本人の同意や意思を大切にしながら、退院前の家族相談、介護方法、緊急時対応、家族の負担を伝えてください。

訪問看護を使えば通院は不要ですか?

不要になるとは限りません。訪問看護は主治医と連携して療養を支えますが、診察、検査、治療のため通院や往診が必要な場合があります。主治医と受診方法を確認してください。

合わない場合は事業所を変更できますか?

変更は可能です。困っている点を現在の事業所とケアマネジャー等へ伝え、改善が難しい場合は別の事業所を検討します。医療処置が途切れないよう、主治医の指示書と引継ぎの時期を調整してください。

まとめ

  • 訪問看護は主治医の指示に基づき、自宅療養を支えるサービス
  • 利用する保険は本人が自由に選ぶのではなく、認定・病気・状態等で確認する
  • 料金は負担割合、時間、回数、職種、加算、保険外費用で変わる
  • 1回の金額ではなく、月額見込みを書面で確認する
  • 医療処置、緊急時、夜間、看取り、費用を比べて事業所を選ぶ
  • 退院前から主治医・病院・訪問看護・ケアマネジャー・家族で役割を調整する

公的な確認先

本記事は2026年7月時点の公的情報をもとにした一般的な解説です。利用できる保険、訪問回数、医療処置、料金、加算、公費負担、緊急時対応は、本人の状態、保険、自治体、主治医の指示、事業所の体制等で異なります。個別の診断・治療は主治医へ、利用条件と料金は保険者・ケアマネジャー・訪問看護ステーションへご確認ください。

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