こんにちは、社会福祉士のロックです。
介護保険の居宅サービスには、要支援・要介護度ごとに1か月の上限があります。上限内なら保険給付の対象となり、負担割合証に応じて原則1〜3割を支払いますが、上限を超えた部分は原則として全額自己負担です。
この記事では、地域包括支援センターで相談支援に携わった経験をもとに、区分支給限度基準額の単位数、円への換算方法、上限に含まれるサービス、超過時の負担、ケアプランでの確認方法を整理します。
介護保険の「単位」は「円」ではありません。上限を超えるかは、通所介護だけでなく訪問介護や福祉用具貸与など、限度管理の対象サービスを合計して確認します。
この記事でわかること
- 区分支給限度基準額の意味
- 2026年7月時点の要介護度別単位数
- 単位を円へ換算する考え方
- 上限内・上限超過分の自己負担
- 上限に含まれるサービスと含まれないサービス
- サービス利用票別表で確認する項目
支給限度額とは
一般に「支給限度額」と呼ばれるものの正式名称は、区分支給限度基準額です。要支援1・2、要介護1〜5の区分ごとに、介護保険の対象として1か月に利用できる居宅サービス等の上限が単位数で定められています。
上限は現金でもらえる金額ではありません。また、上限まで使わなければ損をする仕組みでも、余った単位を翌月へ繰り越す仕組みでもありません。本人の状態と生活目標に必要なサービスを組み合わせるための上限です。
要支援・要介護度別の支給限度単位
2026年7月時点の区分支給限度基準額は次のとおりです。右列は分かりやすくするため、仮に1単位10円として保険対象費用の総額へ換算した例です。利用者が支払う金額ではありません。
| 区分 | 1か月の上限 | 1単位10円の場合の費用総額 |
|---|---|---|
| 要支援1 | 5,032単位 | 50,320円 |
| 要支援2 | 10,531単位 | 105,310円 |
| 要介護1 | 16,765単位 | 167,650円 |
| 要介護2 | 19,705単位 | 197,050円 |
| 要介護3 | 27,048単位 | 270,480円 |
| 要介護4 | 30,938単位 | 309,380円 |
| 要介護5 | 36,217単位 | 362,170円 |
要介護度が重いほど上限は大きくなりますが、実際に使うサービス量は本人の必要性、生活環境、家族の状況、事業所の空き、本人の希望などを踏まえてケアプランで決めます。
単位を円に換算する方法
介護サービス費の基本的な計算は次の考え方です。
サービス単位数 × 1単位当たりの単価 = 保険対象となる費用総額
1単位当たりの単価は一律10円ではありません。事業所所在地の地域区分と、訪問介護・通所介護などサービスごとの人件費割合によって、原則10.00〜11.40円の範囲で変わります。
| 確認するもの | 内容 |
|---|---|
| サービス単位数 | サービス種類、要介護度、利用時間、事業所規模、加算・減算等で決まる |
| 1単位当たりの単価 | 地域区分とサービス種類により変わる |
| 負担割合 | 介護保険負担割合証に記載された1割・2割・3割 |
| 保険外費用 | 食費、居住費、日用品費など。単位とは別に確認 |
以前の記事にあった「単位数と円額は同じ」という説明は誤りです。現行の要介護1上限は16,765単位で、1単位10円なら保険対象費用の総額は167,650円です。1割負担・1単位10円の場合に自己負担額の数字が単位数と同じになることがあるため、混同しやすい点に注意してください。
上限内と上限超過後の自己負担
| 利用部分 | 介護保険の扱い | 利用者負担 |
|---|---|---|
| 区分支給限度基準額の範囲内 | 保険給付の対象 | 負担割合証に応じて原則1〜3割 |
| 上限を超えた部分 | 保険給付の対象外 | 原則10割 |
| 食費・居住費・日用品費等 | 支給限度額とは別 | 原則として全額自己負担 |
たとえば要介護1で、限度管理の対象サービス合計が18,000単位になった場合、上限16,765単位までの部分は1〜3割負担、超過した1,235単位分は原則10割負担です。実際の円額は、それぞれのサービスの単位単価を使って計算します。
限度額を超えて利用すること自体が禁止されているわけではありません。本人・家族が全額負担になる金額を理解し、必要性を検討したうえで利用します。説明を受けずに超過していた場合は、担当ケアマネジャーへ早めに確認してください。
限度額に含まれる主なサービス
区分支給限度基準額は、主に自宅で生活しながら利用する複数の居宅サービス等を合計して管理します。代表例は次のとおりです。
- 訪問介護、訪問入浴介護
- 訪問看護、訪問リハビリテーション
- 通所介護、地域密着型通所介護
- 通所リハビリテーション
- 短期入所生活介護、短期入所療養介護
- 福祉用具貸与
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
- 小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護など
デイサービスだけで上限を考えるのではなく、訪問介護、短期入所、福祉用具貸与などとの合計を見ます。以前の記事にあった、固定単位で月の利用回数を割り出す計算は、通所介護の単位が条件で変わることや、他サービス・加算を無視しており、一般的な利用可能回数としては使えません。
通所介護の料金が決まる条件は、次の記事で整理しています。

月額の限度管理に含まれない代表例
すべての介護保険サービスが、この月額上限へ算入されるわけではありません。代表例は次のとおりです。
| サービス等 | 主な扱い |
|---|---|
| 居宅介護支援・介護予防支援 | 月額の区分支給限度管理の対象外 |
| 居宅療養管理指導 | 月額の区分支給限度管理の対象外 |
| 通常利用の特定施設入居者生活介護 | 月額の区分支給限度管理の対象外 |
| 通常利用の認知症対応型共同生活介護 | 月額の区分支給限度管理の対象外 |
| 介護保険施設サービス | 月額の区分支給限度管理の対象外 |
| 特定福祉用具購入 | 別の支給限度基準額で管理 |
| 住宅改修 | 別の支給限度基準額で管理 |
同じサービス名でも、短期利用か通常利用かなどで扱いが変わる場合があります。この表は代表例です。個別のサービスが限度管理に入るかは、担当ケアマネジャーとサービス利用票別表で確認してください。
加算はすべて上限に入る?
基本報酬と多くの加算は限度額に算入されます。一方、介護職員等処遇改善加算、サービス提供体制強化加算、特別地域・中山間地域に関する加算、訪問看護の一部加算など、限度管理の対象外と定められた加算もあります。
限度管理の対象外だから無料になるわけではありません。保険給付の対象であれば、通常は負担割合証に応じた1〜3割負担が生じます。「上限を消費するか」と「自己負担があるか」は別に考えます。
要支援者の総合事業との関係
要支援1・2の方が指定事業者による総合事業の訪問型・通所型サービス等を利用する場合、原則として介護予防サービスと合わせて要支援1・2の限度額内で管理します。
事業対象者は要支援1の限度額を目安に市区町村が上限を設定し、本人の状態などにより例外を設ける場合があります。総合事業は対象サービス、単位、利用者負担が自治体ごとに異なるため、全国一律ではありません。
要支援者等の通所型サービス料金は、次の記事で詳しく解説しています。

高額介護サービス費とは別の制度
区分支給限度基準額と高額介護サービス費は、どちらも「上限」に関係するため混同されやすい制度です。
| 制度 | 何の上限か | 超過時の考え方 |
|---|---|---|
| 区分支給限度基準額 | 保険給付の対象として利用できるサービス量 | 超過したサービス部分は原則10割負担 |
| 高額介護サービス費 | 1〜3割の利用者負担の月額上限 | 所得区分に応じ、対象となる負担の超過分を支給 |
支給限度額を超えた10割負担分、食費、居住費などは、原則として高額介護サービス費の計算対象になりません。「限度額を超えても後で全部戻る」という理解は誤りです。
月が変わると上限はどうなる?
区分支給限度基準額は1か月ごとに管理され、余った単位を翌月へ繰り越すことはできません。月途中で要介護度が変更された場合、その月の限度額は原則として変更前後のうち介護の必要度が高い区分を使います。
一方、各サービスの報酬は、原則として実際にサービスを受けた日時点の要介護度で算定します。区分変更を申請中にサービス量を増やす場合は、認定結果が想定より軽かったときの自己負担リスクも担当者へ確認してください。
サービス利用票別表で確認する6項目
担当ケアマネジャーから受け取る「サービス利用票別表」には、単位数と自己負担を確認するための情報があります。名称や配置は様式により見え方が異なる場合がありますが、次の項目を一緒に確認しましょう。
- 区分支給限度基準額
- 限度額の対象となるサービスの合計単位数
- 区分支給限度基準額を超える単位数
- 区分支給限度基準内の単位数
- サービスごとの単位数単価
- 保険対象の自己負担額と全額負担額
上限に近い場合は、「どのサービスを何回増やすと超えるか」「超えた場合は月いくら増えるか」を具体的に聞いてください。ケアマネジャーの役割と相談のコツは次の記事で解説しています。

限度額に近づいたときの考え方
社会福祉士としてのポイント
単位を機械的に削る前に、「安全に自宅で暮らす」「家族が仕事を続ける」「入浴を保つ」など、生活上の優先順位を共有してください。回数だけでなく、曜日、時間、別サービスへの変更、自治体独自支援の活用も含めて考えます。
- 生命・身体の安全に関わる支援を最優先にする
- 本人が自分で続けられることを確認する
- 家族が無理なく担える範囲を明確にする
- 限度管理の対象外サービスや自治体支援を確認する
- 短期間だけ10割負担で追加する場合は金額を書面で確認する
- 状態が変化した場合は区分変更申請を相談する
介護保険の申請や区分変更、ケアプラン作成までの流れは、次の記事も参考にしてください。


よくある質問
限度額まで使わないと損ですか?
損ではありません。限度額は利用目標ではなく上限です。本人の生活に必要なサービスを必要な量だけ使い、状態に合わせて見直します。
限度額を超えるとサービスを使えませんか?
利用できますが、超過した部分は原則10割負担です。事前に本人・家族の同意と金額確認が必要です。
福祉用具購入や住宅改修も同じ上限ですか?
同じ月額上限ではありません。特定福祉用具購入と住宅改修には、それぞれ別の支給限度基準額があります。福祉用具貸与は月額の限度管理対象です。
高額介護サービス費で10割負担分は戻りますか?
区分支給限度基準額を超えた10割負担分は、原則として高額介護サービス費の対象外です。食費・居住費なども対象外となる費用があります。
今月どれくらい使っているか分かりません
担当ケアマネジャーへサービス利用票別表の説明を依頼してください。限度額、計画単位数、超過単位数、円換算後の自己負担見込みを一緒に確認できます。
まとめ
- 区分支給限度基準額は、要支援・要介護度ごとの月額上限
- 単位は円ではなく、地域とサービス種類で1単位当たりの単価が変わる
- 上限内は原則1〜3割、上限超過部分は原則10割負担
- 通所介護だけでなく、訪問介護や福祉用具貸与などを合計して管理する
- 住宅改修、特定福祉用具購入、施設サービスなどは別の扱い
- サービス利用票別表で単位数と全額負担分を確認する
支給限度額は、サービスを減らすためだけの数字ではありません。本人の暮らしに必要な支援を整理し、費用も含めて継続できるケアプランを作るための基準です。分からない欄があれば、遠慮せず担当ケアマネジャーへ説明を求めましょう。
参考にした公的情報
- 区分支給限度基準額に関する告示(厚生労働省)
- 令和6年度介護報酬改定(厚生労働省)
- 居宅サービス計画書標準様式・記載要領(厚生労働省)
- 介護予防・日常生活支援総合事業の実施指針(厚生労働省)
- 介護サービスの利用料と高額介護サービス費(厚生労働省)
本記事は2026年7月時点の公的情報をもとにした一般的な解説です。単位数、地域単価、限度管理の対象、利用者負担は制度改正、自治体、サービス種類、本人の認定区分等により異なる場合があります。個別の計画と費用は、市区町村、地域包括支援センター、担当ケアマネジャー、利用事業所へご確認ください。


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