介護保険サービスを使うには?認定後のケアプラン作成から契約まで【中編】の巻

介護に関する知識や考え方

こんにちは、社会福祉士のロックです。

介護保険の認定結果が届いても、それだけで介護サービスが自動的に始まるわけではありません。認定区分に応じた相談先へ連絡し、ケアプランを作り、利用する事業所から説明を受けて契約する必要があります。

この記事では、地域包括支援センターで相談支援に携わった経験をもとに、認定後から在宅サービス開始までに家族がすることを順番に解説します。申請から認定結果が届くまでについては、前編をご覧ください。

介護保険を使うには?申請から要介護認定までの流れ【前編】の巻
私は地域包括支援センターで10年以上、社会福祉士として高齢者やご家族の相談支援に関わってきました。介護保険は、必要になったときに自動でサービスが始まる制度ではありません。原則として、市区町村へ申請し、要介護・要支援認定を受けてから利用します…

結論は「認定結果を確認する→担当窓口へ相談する→ケアプランを作る→事業所と契約する→利用開始」の順です。急ぎの事情がある場合は、結果が届くまで待たず、市区町村の介護保険窓口や地域包括支援センターへ相談してください。

この記事でわかること

  • 認定結果が届いたら確認する書類
  • 要支援・要介護ごとの相談先
  • ケアプラン作成からサービス開始までの流れ
  • 事業所との契約前に確認したい費用と条件
  • 利用開始後に状態や希望が変わったときの対応

認定結果が届いたら最初に確認すること

まず、結果通知や介護保険被保険者証などを手元に置き、次の項目を確認します。家族が手続きを進める場合も、本人と一緒に内容を確認しておくと、その後の相談がスムーズです。

確認項目見るポイント
認定区分非該当、要支援1・2、要介護1〜5のどれか
認定の有効期間開始日と満了日。更新申請の時期にも関わる
利用者負担割合負担割合証に記載された1割・2割・3割のいずれか
現在の困りごと入浴、移動、服薬、食事、見守りなど、早く支援したいこと
今後の予定退院日、家族が不在になる日、通院予定など

認定区分だけを見てサービスを決めるのではなく、「本人がどのような暮らしを続けたいか」「家族がどこで困っているか」を整理することが大切です。

認定区分によって最初の相談先が変わる

在宅で介護サービスを利用する場合、最初の相談先は次のとおりです。

認定結果・状況主な相談先
要介護1〜5市区町村の指定を受けた居宅介護支援事業所
要支援1・2地域包括支援センター。地域によっては指定を受けた居宅介護支援事業所でも対応
施設入所を希望希望する施設、市区町村窓口、地域包括支援センターなど
非該当市区町村窓口や地域包括支援センターへ、総合事業や自治体独自の支援を相談

要支援1・2の方は、まず地域包括支援センターへ連絡するのが分かりやすい方法です。2024年4月以降は、市区町村から指定を受けた居宅介護支援事業所が介護予防支援を直接担当できる仕組みもあるため、地域の対応を窓口で確認してください。

居宅介護支援事業所を探すときは、厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」で所在地やサービス内容を確認できます。地域包括支援センターや市区町村から事業所一覧を受け取り、複数の候補を比べても構いません。

介護サービス情報公表システムの解説(厚生労働省)

居宅介護支援事業所を選ぶときの確認ポイント

「病院に近い」「大きな法人だから」といった条件だけで決める必要はありません。本人や家族が相談しやすく、必要な連絡を取りやすいかも大切です。

  • 本人の住む地域が事業の対象区域か
  • 新規の相談を受け付けているか
  • 連絡しやすい曜日・時間帯と緊急時の連絡方法
  • 医療機関や地域包括支援センターとの連携方法
  • 担当者が不在のときに事業所内で引き継げるか
  • 複数のサービス事業所を公平に説明してくれるか

ケアマネジャーの詳しい役割や、相談が合わないときの担当変更については、次の記事で解説しています。

ケアマネジャーとは?役割・相談のコツ・担当変更の手順を社会福祉士が解説の巻
私は地域包括支援センターで10年以上、社会福祉士として高齢者やご家族、ケアマネジャーからの相談に関わってきました。介護サービスを利用するとき、ケアマネジャーは本人の希望を聞き、ケアプランを作り、関係機関をつなぐ重要な相談相手です。先に結論で…

ケアプラン作成からサービス開始までの7段階

1.本人・家族の希望と生活状況を伝える

ケアマネジャーなどの担当者が本人の自宅を訪問し、心身の状態、住環境、家族の支援状況、通院、家計面の希望などを確認します。本人ができていることも伝えると、「できることを保ちながら必要な部分だけ支える」計画を立てやすくなります。

2.生活上の課題と目標を整理する

たとえば「デイサービスに行くこと」自体を目標にするのではなく、「自宅で安全に入浴を続ける」「家族の仕事中も安心して過ごす」など、生活上の目的を具体化します。

3.サービスの種類・回数・候補を検討する

訪問介護、通所介護、訪問看護、福祉用具貸与などから必要な支援を組み合わせます。配食、見守り、家事代行などは介護保険ではなく、自治体事業や民間の自費サービスとして組み合わせることもあります。

4.ケアプランの原案を確認する

担当者から目標、サービス内容、曜日、回数、費用の見込みについて説明を受けます。本人や家族が納得できない部分は、同意する前に質問や修正を依頼できます。

5.関係者で情報を共有する

必要に応じてサービス担当者会議が開かれ、本人・家族、ケアマネジャー、各サービス事業所などが支援方針を確認します。医療的な注意がある場合は、主治医や訪問看護との連携も重要です。

6.各サービス事業所から説明を受けて契約する

ケアプランへの同意とは別に、実際に利用する訪問介護事業所やデイサービスなどと契約します。重要事項説明書や契約書は、その場で急いで読み飛ばさず、不明点を確認してください。

7.利用を開始し、必要に応じて見直す

開始後は担当者が状況を確認します。サービスの回数や内容が暮らしに合わない場合、認定期間の途中でもケアプランの変更を相談できます。

契約前に確認したいチェックリスト

  • サービスの内容、曜日、時間、利用回数
  • 介護保険の自己負担額と、保険外でかかる費用
  • 食費、日用品、送迎範囲、材料費などの実費
  • 欠席・キャンセルの連絡期限とキャンセル料
  • 緊急時や体調不良時の対応・連絡先
  • 個人情報の利用目的と、関係機関へ共有する範囲
  • 苦情・相談の窓口と契約終了の手続き

紹介された最初の事業所と必ず契約しなければならないわけではありません。見学や説明を受け、本人の希望や生活に合うかを確かめて選べます。選択肢が少ない場合も、理由や代替案を担当者へ確認しましょう。

介護サービスの費用で知っておきたいこと

介護保険サービスの利用者負担は、原則として費用の1割、一定以上の所得がある方は2割または3割です。実際の割合は、自治体から交付される介護保険負担割合証で確認します。

  • 在宅サービスには、要介護度ごとの支給限度額があります
  • 限度額を超えて利用した分は、原則として全額自己負担です
  • 食費、居住費、日用品費など、介護保険の対象外となる費用があります
  • 居宅介護支援や介護予防支援によるケアプラン作成は、通常、利用者負担がありません

金額は地域、サービスの種類、加算、利用回数などで変わります。契約前に「1か月の合計見込み」と「介護保険外の費用」を分けた説明を受けてください。

サービスにかかる利用料(厚生労働省・介護サービス情報公表システム)

最初の相談で伝えるとよいこと

すべてをきれいに整理してから連絡する必要はありません。次のような事実を、分かる範囲で伝えれば十分です。

  • 最も困っていることと、いつから始まったか
  • 本人が希望する生活と、避けたいこと
  • 家族が手伝っている内容と、続けるのが難しい部分
  • 持病、服薬、通院先、退院予定
  • 利用できる曜日・時間、予算面の希望

社会福祉士としてのポイント
本人と家族の希望が違うときも、どちらか一方を「正解」にせず、それぞれの希望と負担を担当者へ伝えてください。安全面と本人の意思を両方確認しながら、実行できる方法を探すことが支援の出発点です。

利用開始後に状態や希望が変わったら

転倒が増えた、家族の介護が続けにくくなった、退院して医療的な支援が必要になったなど、状況が変わったときは次の定期確認まで待つ必要はありません。早めに担当のケアマネジャーや地域包括支援センターへ連絡してください。

ケアプランの変更で対応できる場合もあれば、要介護状態が大きく変化している場合には、認定の有効期間中でも区分変更申請を検討することがあります。緊急性が高いときは、自治体窓口や担当者へ「いつまでに何が必要か」を具体的に伝えましょう。

よくある質問

家族だけで相談してもよいですか?

まず家族が相談することはできます。ただし、サービスの内容を決める際は、本人の意思や状況の確認が基本です。本人が話しにくい事情がある場合は、そのことも窓口へ伝えてください。

ケアマネジャーは自分で選べますか?

選べます。事業所の受け入れ状況によって希望どおりにならないことはありますが、複数の候補を確認したり、担当変更を相談したりできます。

認定結果が出たら、すぐサービスを使えますか?

通常はケアプラン作成や事業所との調整・契約が必要です。退院直後など急ぎの場合は、認定結果を待っている間の暫定的な利用方法を相談できることがあります。ただし、認定結果によって自己負担が生じる可能性もあるため、事前に自治体や担当者へ確認してください。

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まとめ

  1. 認定結果と有効期間、負担割合、急ぎの困りごとを確認する
  2. 要介護なら居宅介護支援事業所、要支援ならまず地域包括支援センターへ相談する
  3. 本人の希望をもとにケアプランを作り、内容と費用を確認する
  4. 各サービス事業所の説明を受け、納得してから契約する
  5. 利用開始後も、状態や希望が変われば早めに見直しを相談する

介護保険の手続きは、一度にすべて理解する必要はありません。まずは認定結果と現在の困りごとを持って、地域の相談先へ連絡するところから始めましょう。

参考にした公的情報

本記事は2026年7月時点の公的情報をもとにした一般的な解説です。自治体や本人の状況により手続き・利用条件が異なる場合があります。個別の判断は、お住まいの市区町村、地域包括支援センター、担当のケアマネジャーへご確認ください。

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