こんにちは、社会福祉士のロックです。
NISAは、投資で得た一定の利益を非課税にできる制度です。しかし、NISA口座を開くだけでお金が増えるわけではなく、投資商品の値下がりを防ぐ制度でもありません。
この記事では、2026年7月時点の現行制度をもとに、年間投資枠、非課税保有限度額、対象商品、売却後の枠、損失が出た場合の注意点を整理します。家計や介護費用との両立を考える際の判断手順も、社会福祉士の視点から解説します。
結論は、NISAは「投資の利益に対する税制上の入れ物」であり、投資そのものの安全性を高める制度ではない、ということです。生活費や近い将来に使うお金を先に確保し、元本割れを受け入れられる長期資金で利用を検討します。
この記事でわかること
- 2026年時点のNISAの非課税枠と対象者
- つみたて投資枠と成長投資枠の違い
- 売却後に枠が再利用できる時期と金額
- NISAで損失が出たときの注意点
- 家計や介護費用と両立するための始め方
- 2027年から始まる予定の未成年向け拡大
NISAとは投資の利益を非課税にする制度
通常、株式や投資信託の売却益・配当・分配金には約20%の税金がかかります。NISA口座で対象商品を保有した場合、制度の範囲内で得た売却益や配当等が非課税になります。
2024年から始まった現行のNISAでは、非課税保有期間が無期限になり、つみたて投資枠と成長投資枠を併用できます。2026年時点では、口座を開設する年の1月1日時点で18歳以上の国内居住者等が対象です。
一方で、次の点は変わりません。
- 投資した商品の価格は上がることも下がることもある
- 元本は保証されない
- NISA口座でも商品ごとの手数料や信託報酬はかかる
- NISAの対象ではない商品もある
- 損失が出た場合に課税口座より不利になる税務上の扱いがある
2026年時点のNISAの非課税枠
| 項目 | つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
|---|---|---|
| 年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
| 併用 | 併用でき、年間合計は最大360万円 | |
| 非課税保有期間 | 無期限 | |
| 非課税保有限度額 | 2つの枠を合わせて1,800万円 | |
| 成長投資枠の上限 | - | 1,800万円のうち最大1,200万円 |
非課税保有限度額は、商品の時価ではなく買付額(簿価)で管理されます。値上がりして時価が1,800万円を超えても、それだけで限度額を超えた扱いにはなりません。
年間投資枠は上限であり、使い切る必要はありません。使わなかった年間投資枠を翌年へ繰り越すこともできません。生活を圧迫してまで枠を埋めるのは、制度の目的と逆になります。
つみたて投資枠と成長投資枠の対象商品
| 枠 | 主な対象商品 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| つみたて投資枠 | 長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託・ETF | 金融庁の基準を満たした商品に限定 |
| 成長投資枠 | 上場株式、ETF、REIT、一定の投資信託など | 対象は広いが、すべての商品を買えるわけではない |
成長投資枠では、整理・監理銘柄、信託期間が短い投資信託、毎月分配型、高レバレッジ型など、制度の条件により対象外となる商品があります。
「NISAで買えるからよい商品」とは限りません。投資対象、コスト、値動き、分配方針、解約条件を確認し、自分の目的に合うかで判断します。
売却すると枠はいつ、いくら戻る?
NISA口座の商品を売却すると、その商品の買付額(簿価)分の非課税保有限度額を、翌年以降に再利用できます。値上がり後の売却額が戻るわけではありません。
| 例 | 扱い |
|---|---|
| 100万円で買った商品を150万円で売却 | 翌年以降に再利用できる総枠は100万円分 |
| 100万円で買った商品を70万円で売却 | 翌年以降に再利用できる総枠は100万円分 |
重要なのは、売却した年の年間投資枠がその場で復活するわけではないことです。翌年以降に総枠を再利用できても、その年に利用できる年間投資枠は、つみたて投資枠120万円・成長投資枠240万円の範囲です。
NISAで損失が出た場合の注意点
NISA口座で利益が出た場合は非課税ですが、損失が出た場合、その損失は税務上「なかったもの」と扱われます。
- 特定口座・一般口座の利益と損益通算できない
- 損失を翌年以降へ繰り越して控除できない
非課税というメリットだけでなく、損失時の扱いも理解したうえで、NISAに入れる商品を考えます。
NISA口座と課税口座の違い
| 項目 | NISA口座 | 特定口座・一般口座 |
|---|---|---|
| 対象商品の利益 | 制度の範囲内で非課税 | 原則として課税 |
| 投資できる金額 | 年間投資枠・非課税保有限度額あり | NISAのような非課税枠の上限なし |
| 対象商品 | NISAの条件を満たす商品 | 金融機関が取り扱う幅広い商品 |
| 損益通算 | できない | 条件を満たせば可能 |
両方を持つことはできます。どちらを使うかは、商品、売買方針、非課税枠、税務上の扱いを確認して決めます。
NISAを始める前に確認する7つの手順
- 家計の収支を確認する
毎月いくら残るか、近い将来の支出や借入がないかを整理します。 - 生活予備費を現金で確保する
収入減や急な支出のときに、値下がりした投資商品を売らずに済む資金を分けます。 - 目的と使う時期を決める
老後、教育、住宅、介護など、目的と必要時期を分けます。 - 値下がりを受け入れられるか考える
一時的に大きく下落しても、生活と積立を続けられる金額か確認します。 - 金融機関を比較する
取扱商品、手数料、積立方法、サポート、使いやすさを確認します。 - 商品を理解する
投資対象、コスト、リスク、分配方針を説明できる商品を選びます。 - 無理のない金額で自動化する
年間枠ではなく、家計から逆算した積立額を設定します。
家計と生活予備費の確認方法は、次の記事で詳しく解説しています。

使う時期が近いお金をNISAへ入れない
NISAは非課税保有期間が無期限ですが、「長く持てば必ず利益が出る」という意味ではありません。必要な時期に相場が下落している可能性があります。
| 資金の例 | 考え方 |
|---|---|
| 毎月の生活費 | 投資に回さず、すぐ使える預貯金で管理 |
| 数年以内に必要な医療・介護・住宅費 | 必要額と時期を確認し、現金を優先 |
| 使う時期を調整できる長期資金 | 元本割れを受け入れられる範囲で分散投資を検討 |
投資の目的、期間、リスク許容度を決める方法は、次の記事にまとめています。

社会福祉士の視点:介護費用をNISAだけに頼らない
介護がいつ始まり、いくら必要になるかは人によって異なります。公的介護保険の自己負担だけでなく、食費、居住費、日用品、交通費、介護保険外サービスなどがかかる場合もあります。
だからといって、介護への不安を理由に急いで投資を始める必要はありません。必要時期の近い費用は現金で備え、長期資金の一部でNISAを検討し、公的制度や相談先も確認するという分け方が現実的です。
社会福祉士としてのポイント
「将来が不安だから投資する」だけでは、相場が下がったときに不安がさらに大きくなります。何に、いつ、いくら必要かを整理し、投資以外の備えも持つことが先です。
商品選びで確認したいこと
- 何に投資する商品か
- 1つの国・業種・企業へ偏っていないか
- 信託報酬や売買手数料などの費用
- 為替変動の影響を受けるか
- 分配金を出す方針か、内部で再投資する方針か
- 値下がりした場合も保有を続けられるか
投資信託の仕組み、手数料、選び方は次の記事で解説しています。

2027年から予定されている未成年向けの拡大
2026年3月に成立した改正法により、2027年から0〜17歳にもつみたて投資枠を広げる制度が始まる予定です。2026年現在の成人向けNISAとは、対象年齢と枠が異なります。
| 項目 | 2027年からの未成年向け制度 |
|---|---|
| 対象 | 0〜17歳 |
| 年間投資枠 | 60万円 |
| 非課税保有限度額 | 600万円 |
| 利用できる枠 | つみたて投資枠。成長投資枠は利用不可 |
未成年期間中の払出しには条件があります。開始前に制度の細部が案内される可能性もあるため、利用時は金融庁・財務省・国税庁の最新情報を確認してください。
よくある誤解
年間360万円を使い切らないと損ですか?
いいえ。年間投資枠は上限です。家計、目的、リスク許容度に合う金額だけを使います。生活費を削ったり借金をしたりして枠を埋める必要はありません。
NISAならすべての株や投資信託を買えますか?
買えません。つみたて投資枠・成長投資枠には、それぞれ対象商品の条件があります。金融機関によって取扱商品も異なります。
売却すれば、その年の年間投資枠が戻りますか?
戻りません。売却商品の買付額分の非課税保有限度額を再利用できるのは翌年以降です。その年の年間投資枠は増えません。
NISAなら元本割れしませんか?
元本割れする可能性があります。NISAは税制上の制度であり、投資商品の価格や配当を保証しません。
NISAとiDeCoはどちらを先に使うべきですか?
一律の正解はありません。NISAは売却して資金化できますが、iDeCoは原則60歳まで引き出せません。所得、勤務先の年金制度、使う時期、手数料を確認して判断します。
NISAとiDeCoを含む投資方針の分け方は、次の記事で解説しています。

まとめ
- 2026年のNISAは18歳以上が対象で、年間投資枠は最大360万円
- 非課税保有限度額は1,800万円、そのうち成長投資枠は最大1,200万円
- 売却後に再利用できるのは買付額分で、翌年以降
- NISAの損失は課税口座と損益通算・繰越控除ができない
- 生活費や近い将来の介護費用は現金で確保し、長期資金で利用を検討する
- 2027年の未成年向け拡大は、2026年の現行制度と分けて考える
NISAは、使える枠の大きさよりも、家計に合う金額と理解できる商品を選ぶことが重要です。制度を使うことを目的にせず、生活を守りながら長期の資産形成に利用しましょう。
参考にした公的情報
本記事は2026年7月時点の公的情報をもとにした一般的な解説で、特定の商品・銘柄・金融機関を推奨するものではありません。投資には元本割れの可能性があります。制度や税務の詳細は金融庁、国税庁、金融機関、税理士等へ確認し、最終的な判断はご自身の状況に応じて行ってください。


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