年金生活者支援給付金は、一定の所得基準などを満たす年金受給者へ、年金に上乗せして支給される給付金です。年金を受けていれば全員が対象になるわけではなく、受け取りには認定請求が必要です。2026年度に新たな対象となる人へは、日本年金機構が2026年9月1日から請求書を順次発送しています。
緑の封筒やはがき型の請求書が届いたら、処分せずに内容を確認しましょう。届かなくても、世帯構成の変更や税額の更正などで要件を満たし、自分から請求が必要になる場合があります。
- 老齢・障害・遺族では、対象要件と給付額が異なる
- 2026年度の給付基準額は月5,620円だが、全員が同額ではない
- はがき型請求書は、郵送または対象者向けの電子申請で提出できる
- はがきの提出期限を過ぎると受け取れない月が生じるため、放置しない
年金生活者支援給付金とは
年金生活者支援給付金は、公的年金などの収入やその他の所得が一定基準以下の人の生活を支えるため、年金へ上乗せする制度です。臨時給付金ではなく、要件を満たす間は継続して受け取れます。
年金本体とは別の制度なので、受給開始時には日本年金機構への認定請求が必要です。支給要件は市町村の所得情報などを基に毎年判定されますが、受給中で引き続き要件を満たす人は原則として再請求不要です。
老齢・障害・遺族の3種類を混同しない
| 種類 | 主な対象 | 2026年度の給付額 |
|---|---|---|
| 老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金 | 65歳以上で老齢基礎年金を受け、世帯・所得要件を満たす人 | 月5,620円を基準に、保険料納付済期間・免除期間などで計算 |
| 障害年金生活者支援給付金 | 障害基礎年金を受け、前年所得が基準以下の人 | 2級は月5,620円、1級は月7,025円 |
| 遺族年金生活者支援給付金 | 遺族基礎年金を受け、前年所得が基準以下の人 | 月5,620円。2人以上の子が受給する場合は人数で分ける |
障害・遺族の給付金は、前年所得が491万8,000円以下であることが基本要件で、扶養親族等の人数に応じて基準は加算されます。障害年金・遺族年金などの非課税収入は、この所得判定には含まれません。また、老齢の給付金にある「同一世帯全員が市町村民税非課税」という要件は、障害・遺族の給付金にはありません。
老齢の給付金は3つの要件をすべて確認する
- 65歳以上で、老齢基礎年金を受けている
- 同一世帯の全員が、市町村民税非課税である
- 前年の公的年金等の収入と、その他の所得の合計が基準以下である
本人の年金額が少なくても、同じ世帯に市町村民税が課税されている人がいれば、老齢の給付金は対象になりません。夫婦とも要件を満たす場合は、二人とも受け取れます。
所得基準に使うのは、前年の公的年金等の収入とその他の所得の合計です。給与や不動産などの所得がある人は、年金額だけで判断できません。障害年金や遺族年金などの非課税収入は含まれません。親の家計整理には、親の年金と介護費用の収支を確認する方法も参考になります。
2026年度は9月分までと10月分以降で所得基準が異なる
2026年9月分までの判定と、2026年度の所得判定が反映される10月分以降では基準額が異なります。厚生労働省は、2026年10月時点の基準を次のように案内しています。
| 対象期間・生年月日 | 老齢給付金 | 補足的老齢給付金 |
|---|---|---|
| 2026年9月分まで 1956年4月2日以後生まれ | 80万9,000円以下 | 80万9,000円超90万9,000円以下 |
| 2026年9月分まで 1956年4月1日以前生まれ | 80万6,700円以下 | 80万6,700円超90万6,700円以下 |
| 2026年10月分から 1956年4月2日以後生まれ | 82万6,500円以下 | 82万6,500円超92万6,500円以下 |
| 2026年10月分から 1956年4月1日以前生まれ | 82万4,100円以下 | 82万4,100円超92万4,100円以下 |
2026年度の判定結果は、2026年10月分から2027年9月分まで反映されると案内されています。「年度中は同じ基準」と考えず、確認したい支給月をそろえましょう。10月分以降の数字は厚生労働省が公表した2026年10月時点の基準なので、手続き時にも公式ページをご確認ください。
老齢の給付額は一律5,620円ではない
2026年度の老齢年金生活者支援給付金は、月5,620円を基準に、国民年金保険料の納付済期間や免除期間で計算します。納付済期間が480カ月なら納付済期間に基づく部分は5,620円ですが、免除期間がある場合は別の計算部分が加わります。
補足的老齢給付金は、給付による所得の逆転を防ぐ仕組みです。納付済期間と前年所得等に応じた調整率を使うため、金額は人によって異なります。見込額は、はがき型請求書や支給決定通知書で確認します。
2026年9月に届く請求書を確認する
日本年金機構は、基礎年金をすでに受けている人のうち、所得の低下などにより2026年度から新たに対象となる人へ、2026年9月1日からはがき型請求書を順次送っています。支給要件に該当するか所得情報だけで確認できない人には、A4型の請求書と所得状況届が送られます。
受給中で引き続き要件を満たす人は、新たな認定請求は原則不要です。届いた書類が「請求書」「支給金額の改定通知」「不該当通知」のどれかを確かめましょう。
はがきが届いたら行う6つの手順
- 差出人を確認する
日本年金機構からの緑の封筒か、表示に不自然な点がないかを見ます。 - 給付金の種類を確認する
老齢・障害・遺族のどの請求かを確かめます。 - 見込額と記載事項を見る
はがきには見込月額が記載されています。必要箇所を案内どおり確認します。 - 郵送か電子申請を選ぶ
郵送は氏名等を記入し、目隠しシールと切手を貼ります。2025年1月以降にはがきが届いた人は対象者向け電子申請も利用でき、電子申請後の郵送は不要です。 - 提出記録を残す
提出日と方法をメモし、案内や控えを保管します。 - 審査結果を確認する
支給決定通知書で給付額を確認します。提出から通知までは通常1〜2カ月が目安です。
請求後の支払時期と遅れた場合
給付金は原則として偶数月の中旬に前月分までを支払います。年金と同じ口座・同じ日に入りますが、通帳には別の振込みとして記載されます。たとえば4月分と5月分は6月中旬の支払いです。
令和8年度版の案内では、2027年1月4日までに請求書が日本年金機構へ届けば、2026年10月分から遡って受け取れます。1月4日までに届かなかった場合は原則として請求月の翌月分からとなるため、はがきに印字された提出期限を確認し、早めに手続きしましょう。
はがきが届かない・紛失したとき
届かない理由を推測せず、本人の年金の種類、住民票上の世帯、前年所得、市町村民税の課税状況を分けて確認します。感覚的な「同居・別居」だけでは判定できません。
世帯構成の変更、所得の低下、税額の更正などで新たに要件を満たすようになった場合は、自分から認定請求が必要になることがあります。請求書を紛失した場合は、日本年金機構の公式サイトからA4型を入手し、年金事務所へ提出できます。年金額・生活費・介護費を一緒に整理したい場合は、老後の不安を30分で整理する確認シートを使い、制度への質問と家計の悩みを分けてみてください。
社会福祉士の視点|家族は本人の手続きを支える
文字が読みにくい、内容を理解しにくい、手が動かしにくいことで手続きが止まる場合があります。家族は書類を黙って持ち帰らず、「何の給付金か」「どこへ出すか」を伝え、本人が確認できる範囲を残しましょう。
自筆が難しい人は、代理人などによる代筆が可能です。ただし、家族が手伝うことと、本人名義の口座や年金を自由に管理する権限があることは別です。連絡先や書類の置き場所をどこまで共有するかは、親のお金を介護前に確認する7項目も参考に、本人と相談して決めましょう。
- 本人と一緒に封筒を開け、提出の意思を確認する
- 生年月日、世帯、年金の種類を分けてメモする
- 分からない欄を推測で埋めず、公式窓口へ問い合わせる
- 暗証番号やパスワードを家族共有メモに残さない
- 提出日、通知日、初回入金を本人と確認する
給付金をかたる詐欺に注意する
日本年金機構や厚生労働省が、電話で家族構成、金融機関の口座番号、暗証番号を聞いたり、給付金のための手数料を求めたりすることはありません。「今日中にATMで操作して」「電子マネーを買って」「このURLから口座を登録して」と急がせる連絡には応じないでください。
不審な連絡は、相手の番号ではなく、公式サイト掲載の給付金専用ダイヤルや年金事務所へ確認します。被害が疑われる場合は#9110などにも相談してください。在職老齢年金とは別制度なので、違いは在職老齢年金の仕組みと確認手順でも確認できます。
よくある質問
年金が月5,620円増える制度ですか?
一律ではありません。老齢は5,620円を基準に納付済期間・免除期間などで計算し、補足的老齢は所得に応じて調整します。障害1級は月7,025円、2級は月5,620円。遺族は原則月5,620円ですが、複数の子が受ける場合は人数で分けます。
同居の子に住民税がかかっていると対象外ですか?
老齢の給付金は、請求者と同一世帯にいる全員の市町村民税が非課税であることが要件です。住民票上の世帯や課税状況を市区町村で確認してください。この世帯要件は、障害・遺族の給付金には設けられていません。
一度受け取ったら毎年はがきを出しますか?
引き続き支給要件を満たす場合、2年目以降の認定請求は原則不要です。ただし、判定の結果、要件を満たさなくなると不該当通知書が届きます。その後に世帯や所得が変わって再び要件を満たした場合は、あらためて請求が必要です。
はがきが届かなければ申請できませんか?
届かなくても、世帯構成の変更や税額の更正などにより対象になる場合があります。自分で対象だと断定して書類を送る前に、基礎年金番号が分かるものと状況を整理し、給付金専用ダイヤルや年金事務所へ確認してください。
参考にした公的情報
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金」
- 日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」
- 日本年金機構「令和8年度の年金生活者支援給付金請求書(はがき型)の送付について」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金手続きのご案内(令和8年度版)」
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度 よくあるご質問」
情報確認日:2026年9月11日。所得基準、給付額、手続き方法は改定されることがあるため、提出時点の日本年金機構・厚生労働省の案内をご確認ください。
まとめ|届いた書類を放置せず、種類と対象月を確認する
年金生活者支援給付金は、所得などの要件を満たす人へ年金に上乗せする制度です。老齢、障害、遺族では要件が異なり、老齢は本人の所得だけでなく、同一世帯全員の市町村民税が非課税かも確認します。2026年度の給付基準額は月5,620円ですが、老齢の実額は納付済期間・免除期間などで変わります。
2026年度から新たな対象となる人には、9月1日から請求書が順次発送されています。はがきは郵送または対象者向け電子申請で提出でき、2027年1月4日までに届けば2026年10月分から遡れます。届かない、紛失した、本人だけで手続きしにくい場合は、本人と状況を整理して年金事務所へ相談しましょう。
本記事は、2026年9月11日時点の一般的な情報です。実際の支給要件、所得判定、給付額、支給開始月、必要書類は、年金記録、所得、世帯、扶養親族等の状況で異なります。申請前に、日本年金機構、年金事務所、市区町村などで最新情報をご確認ください。

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