豊かな老後を目指すために必要な知識:介護保険の利用までの流れ【後編】
こんにちは、ロックです。
これまで【前編】【中編】の記事では、介護保険の申請から認定、そして実際に介護サービスを利用するまでの流れをお伝えしてきました。
今回はその続きとして、介護保険を利用するうえでの注意点や知っておきたい制度の仕組みについて、地域包括支援センターで働く中でよく質問いただく内容も交えながら解説していきます。
介護保険の認定結果が出るまでの期間は?
申請から認定結果が出るまでには、おおよそ1か月程度かかるのが一般的です。
例えば、6月1日に申請した場合、結果が届くのは7月上旬ごろになるケースが多いです。
この“1か月”という時間には、以下のような理由があります。
- 調査員による訪問調査の実施
- かかりつけ医による「主治医意見書」の作成
- 結果を判定する審査会の開催スケジュール
実際、私たち地域包括支援センターにも「まだ結果が出ないの?」とご不安の声をいただくことがありますが、制度としてしっかりとしたプロセスを踏んでいるからこその時間だということをご理解いただければと思います。
認定前でも介護サービスが使える?(前倒し利用について)
申請から結果が出るまでの間に、「今すぐサービスが必要なんです」というご相談を受けることも多々あります。
実は介護保険には、“前倒し利用”という制度があります。
これは、認定結果がまだ出ていない状態でも、申請日までさかのぼって保険適用を受けられるという仕組みです。
ただし、注意点も。
認定が「非該当(=介護保険の対象外)」となった場合、
その間に利用したサービス費用はすべて全額自己負担となってしまいます。
たとえば、歩行器をレンタルする場合:
- 認定あり → 月額 約700円(1割負担)
- 認定なし → 月額 約7,000円(全額自己負担)
※金額は一例で、サービスや製品によって異なります。
このように、前倒し利用にはメリットもある反面、費用面のリスクもありますので、実際に利用するかどうかは、包括支援センターやケアマネジャーとよく相談しながら判断していきましょう。
認定には“有効期間”があることを忘れずに
意外と知られていないのが、「介護保険の認定には期限がある」という点です。
初回の認定では、3か月から1年程度の期間が設定されており、その期間を過ぎると、たとえ同じ状態でも自動的にサービスが止まってしまうことになります。
たとえば、令和7年6月1日に申請して、結果が「7月1日」についたとします。
このとき、有効期間が6か月だった場合、サービスが利用できるのはR7年6月1日〜11月30日まで。
12月以降も継続してサービスを受けたい場合は、事前に更新手続きが必要になります。
介護保険の“更新申請”について
更新手続きは、認定の有効期限の60日前から可能です。
先ほどの例でいえば、10月から更新の申請をすることができます。
更新の流れは初回と同じで、
- 更新申請を行う
- 訪問調査を受ける
- 医師が主治医意見書を作成
- 審査・判定が行われる
というステップを再度踏みます。
包括支援センターでは、こうした更新手続きについてもサポートしていますが、利用者さん自身でも認定の有効期限を意識しておくことが大切です。
まとめ:制度を理解して安心の介護利用を
今回のポイントを振り返ってみましょう。
- 認定結果が出るまでには1か月程度かかる
- 結果が出る前でもサービス利用は可能(※非該当リスクに注意)
- 認定には期限があるため、更新手続きが必要
介護保険は、必要なときに、必要なサービスを受けられるように設計された制度です。
ですが、その制度をうまく活用するには、申請・更新・費用面など、利用者側の理解と準備もとても大切です。
私たち地域包括支援センターの職員も、制度の橋渡し役として、日々たくさんのご相談を受けています。
「こんなこと聞いていいのかな?」と思うようなことでも、どうぞ気軽にご相談ください。
これからも介護や福祉に関する知識をわかりやすくお届けしていきますので、どうぞお楽しみに。
それでは、またお会いしましょう!
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