この記事は、これから投資を始めたい方に向けたシリーズの第1回です。
投資というと、商品選びや利益の話から始めたくなります。しかし、最初に確認したいのは、投資に回すお金が今の生活や近い将来に必要なお金ではないかという点です。
投資は元本割れの可能性があります。家計を把握し、急な支出に備える現金を確保したうえで、当面使う予定のないお金だけを検討することが基本です。
この記事でわかること
- 投資より先に家計を確認する理由
- 生活予備費を考えるときの判断材料
- 無理のない投資額を決める4つの手順
貯蓄と投資は役割が違う
金融庁は、資産形成を考えるときに、家計管理と生活設計を行い、預貯金と投資を目的に応じて使い分けることを案内しています。
- 預貯金:近いうちに使うお金や、急な支出に備えるお金を置いておく
- 投資:値下がりする可能性を受け入れ、当面使う予定のないお金で長期的な資産形成を目指す
投資には預貯金より高い収益を期待できる面がありますが、利益は保証されません。必要なときに値下がりしていれば、損失を抱えたまま売却せざるを得ないこともあります。投資をしない選択や、開始を先に延ばす選択も間違いではありません。
投資を始める前の4つの手順
1.毎月の収入と支出を把握する
まず、直近の給与や年金などの手取り収入と、住居費、食費、水道光熱費、通信費、保険料などの支出を書き出します。1か月だけで判断しにくい場合は、数か月分を見ると、支出の偏りがわかりやすくなります。
ここでの目的は、無理に節約額を増やすことではありません。現在の家計が黒字なのか、赤字なら何が原因なのかを把握することです。赤字の状態で投資を始めると、生活費を補うために売却する可能性が高くなります。
2.近い将来に使うお金を分ける
車の購入、住宅の修繕、子どもの進学、引っ越し、介護や医療など、近い将来に予定している支出を書き出します。使う時期と金額がある程度わかっているお金は、投資資金と分けて管理した方が安心です。
老後資金という長い目標だけを見ていると、数年以内に必要になるお金を見落としがちです。投資期間を長く取れるかどうかは、商品を選ぶ前に確認したい条件です。
3.急な支出に備える生活予備費を考える
病気、失業、家電の故障、家族の介護など、予定外の支出に備えて手元に置く現金を、ここでは「生活予備費」と呼びます。
必要額に全員共通の正解はありません。次の条件によって変わります。
- 毎月の最低限の生活費
- 収入の安定性と、休職・失業時の見通し
- 扶養する家族の人数
- 医療や介護で急な支出が発生する可能性
- すぐに使える預貯金や利用できる公的制度
「生活費の何か月分」と一律に決めるのではなく、収入が止まった場合に何か月持ちこたえたいかを考え、自分の状況に合う金額を決めましょう。
4.生活に影響しない投資額を決める
家計、予定している支出、生活予備費を確認したあとに残るお金が、投資を検討できる範囲です。その全額をすぐに投資する必要はありません。値下がりしても慌てて売らずに済み、長く続けられる金額から考えます。
「いくら増やしたいか」より先に、「いくらなら値下がりしても生活を変えずに続けられるか」を考えることが大切です。
固定費を見直すときの注意点
家計に余裕をつくる方法として、通信契約、利用していない定額サービス、保険などの固定費を確認する方法があります。ただし、安さだけで判断すると、必要なサービスや保障まで失うことがあります。
- 通信費:現在のデータ使用量や通話量と料金プランが合っているか確認する
- 定額サービス:実際に利用しているか、同じ機能の契約が重複していないか確認する
- 保険:保障内容、保険料、公的保障、家族への責任を確認し、必要なら専門窓口に相談する
見直しで生まれた黒字分は、すべて投資へ回すのではなく、貯蓄と投資のどちらに置くかを目的別に決めます。
社会福祉士として伝えたいこと
高齢者支援の現場では、お金の余裕が、通院方法、介護サービス、住まいなどの選択に影響する場面があります。一方で、将来が心配だからと今の生活を切り詰めすぎれば、現在の暮らしが苦しくなります。
資産形成の目的は、投資額を競うことではなく、自分や家族の選択肢を守ることです。生活を安定させるお金と、将来のために値動きを受け入れるお金を分けて考えることが、無理なく続ける土台になります。
投資前の確認リスト
- 毎月の収支を把握している
- 近い将来に使うお金を投資資金と分けている
- 急な支出に備える現金を確保している
- 元本割れの可能性を理解している
- 値下がりしても生活に影響しない金額である
- 商品の仕組み、手数料、換金条件を確認している
次に読む記事
次回は、「投資を始める前に知っておきたい大切なポイント②」で、投資の目的と目標の考え方を取り上げます。筆者が投資を始めた経緯は、「老後のためのお金作りに目覚めたきっかけと私の投資方法」にまとめています。
参考にした公的情報
まとめ
投資を始める前に、家計、近い将来の支出、生活予備費の3つを確認します。そのうえで、値下がりしても生活に影響せず、長く続けられる金額かを判断しましょう。
本記事は、筆者の経験と公的情報をもとにした一般的な情報提供です。特定の金融商品を勧めるものではありません。商品の内容やリスクを確認し、投資に関する最終判断はご自身で行ってください。


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