こんにちは、社会福祉士のロックです。
訪問介護は、ホームヘルパーが自宅を訪れ、食事・入浴・排せつなどの介助や、本人の生活に必要な掃除・調理などを行う介護保険サービスです。しかし、家事代行とは異なり、頼んだことを何でもしてもらえるわけではありません。
この記事では、地域包括支援センターで相談支援に携わった経験をもとに、訪問介護の対象者、身体介護・生活援助の違い、できることとできないこと、同居家族がいる場合の考え方、料金、利用開始までの流れを整理します。
訪問介護で利用できるのは、本人の日常生活に必要で、ケアプランに位置付けられた支援です。「ヘルパーへ頼める家事」ではなく、「本人の生活目標に必要な支援」から考えます。
この記事でわかること
- 訪問介護を利用できる人
- 身体介護・生活援助・通院等乗降介助の違い
- 介護保険でできること・原則できないこと
- 同居家族がいる場合の生活援助
- 訪問介護の基本単位と自己負担の計算方法
- 契約前に確認する項目
訪問介護(ホームヘルプ)とは
訪問介護は、要介護者ができる限り自宅で生活を続けられるよう、訪問介護員が本人の自宅を訪問して支援するサービスです。
- 安全に食事・入浴・排せつを行う
- 本人の能力を生かしながら家事を続ける
- 服薬や生活リズムを整える
- 家族だけに介護負担が集中することを防ぐ
- 生活状況の変化を関係者へ共有する
単に家事を代わりに行うのではなく、本人ができることを維持し、自宅での生活を続けるためのケアプランと訪問介護計画に基づいて提供されます。
訪問介護を利用できる人
| 対象 | 利用する主な仕組み |
|---|---|
| 要介護1〜5 | 介護保険の訪問介護 |
| 要支援1・2 | 市区町村の総合事業による訪問型サービス |
| 事業対象者 | 基本チェックリスト等を経て総合事業の訪問型サービス |
| 40〜64歳 | 特定疾病が原因で要介護認定を受けた場合など |
介護保険の訪問介護は、基本的に本人が生活する自宅で提供されます。入院中の病院、介護保険施設、他人の家などで自由に利用できるサービスではありません。住まいの種類により扱いが異なるため、担当者へ確認してください。
訪問介護は3つに分けて考える
| 区分 | 内容の例 | 注意点 |
|---|---|---|
| 身体介護 | 食事、入浴、排せつ、更衣、移乗、移動、服薬介助等 | 身体への接触だけでなく、本人と一緒に行う自立支援も含む場合がある |
| 生活援助 | 本人のための掃除、洗濯、一般的な調理、買い物、薬の受け取り等 | 本人や家族が行うことが難しく、ケアプラン上必要な範囲 |
| 通院等乗降介助 | 車への乗降、乗車前後の移動、受診手続き等 | 運賃は保険外。院内の単なる待ち時間等は原則対象外 |
身体介護で受けられる主な支援
- 食事介助、水分摂取の介助
- 入浴・清拭・洗髪の介助
- トイレ介助、おむつ交換
- 着替え、整容
- 起き上がり、移乗、歩行の介助
- 体位変換
- 決められた薬の服薬介助
- 安全を確保しながら本人と一緒に行う調理・洗濯等
本人と一緒に家事を行う支援は、本人の生活機能を維持・向上させる目的や具体的な介助内容などにより、身体介護として位置付けられる場合があります。「できないから全部代行する」だけでなく、「安全にできる部分を続ける」視点があります。
生活援助で受けられる主な支援
- 本人が使う居室等の日常的な掃除
- 本人の衣類・寝具の洗濯
- 一般的な食事の準備・片付け
- 本人に必要な日用品・食材の買い物代行
- 薬の受け取り
- ベッドメイク、衣類の整理
対象になるのは、本人の日常生活に必要な家事です。掃除する場所、調理する人数、買い物の品目などを訪問介護計画で具体的にします。
介護保険の訪問介護では原則できないこと
次は、介護保険の訪問介護としては原則対象外となる例です。「ヘルパーが絶対にできない」という意味ではなく、事業所によっては契約・時間・料金を分けた保険外サービスを案内できる場合があります。
| 分類 | 原則対象外の例 | 理由 |
|---|---|---|
| 家族のための家事 | 家族の食事、洗濯、家族だけが使う部屋の掃除 | 利用者本人への支援ではない |
| 日常範囲を超える家事 | 大掃除、窓ガラス磨き、ワックスがけ | 日常生活に通常必要な家事の範囲を超える |
| 庭・ペット | 草むしり、植木の手入れ、ペットの世話や散歩 | 本人の日常生活援助としての家事に該当しにくい |
| 家屋・家具 | 家具移動、模様替え、修理、ペンキ塗り | 家事援助の範囲を超える |
| 特別な調理 | 来客用の食事、正月料理等 | 本人の日常的な食事準備ではない |
| 仕事 | 商品販売、農作業など本人の事業の手伝い | 日常生活上の援助ではない |
現金の引き出し、通帳・印鑑の管理、高額商品の購入などは、事業所の規定や権利擁護の観点から対応できない場合があります。買い物代行の金銭管理方法も契約前に確認してください。
同居家族がいても生活援助を利用できる?
同居家族がいるだけで、生活援助が一律に利用できなくなるわけではありません。同居家族に障害・疾病がある場合や、その他のやむを得ない事情で家事が難しい場合は、対象になることがあります。
- 家族が高齢で、難しい家事がある
- 家族の心身状態により家事を担えない
- 介護疲れで共倒れ等の深刻な問題が起こるおそれがある
- 家族が不在の時間に援助がなければ本人の生活に支障が生じる
ただし、「家族が高齢」「家族が働いている」という事実だけで自動的に認められるわけでもありません。本人と家族の心身状態、家事能力、就労状況、住環境、支援がない場合の影響を確認し、必要性をケアプランに記録して個別に判断します。
社会福祉士としてのポイント
「家族がいるから使えない」と言われた場合は、家族の有無だけでなく、どの家事が、なぜ、誰にも行えないのかを担当ケアマネジャーへ具体的に伝えてください。反対に、家族のための家事まで介護保険で依頼できるわけではありません。
医療行為や服薬介助はできる?
医療資格を持たないホームヘルパーは、医師・看護師による医学的判断や専門技術が必要な医療行為を原則として行えません。
| 内容 | 考え方 |
|---|---|
| 決められた薬の服薬介助 | 本人の状態、薬の準備状況、ケアプラン等により対応する場合がある |
| 体温・血圧・酸素飽和度の測定 | 健康状態が安定している等の条件で、原則医行為ではないと整理される場合がある |
| 湿布の貼付等 | 状態や方法など一定の条件を確認 |
| 注射・薬の種類や量の判断 | 通常の訪問介護では行わない |
| 傷・褥瘡の専門的処置 | 医師・看護師等へ相談 |
| 喀痰吸引・経管栄養 | 研修修了者、登録事業者、医師の指示、看護職との連携等の法定要件を確認 |
同じ行為でも本人の健康状態や方法により判断が変わります。自己判断で依頼せず、主治医、看護職、ケアマネジャー、事業所で手順を共有してください。
訪問介護の料金はどう決まる?
訪問介護の料金は、全国一律の「30分○円」ではありません。基本単位、地域の1単位当たり単価、事業所の加算・減算、利用時間帯、本人の負担割合などで変わります。
概算の考え方
(基本単位 + 加算・減算)× 地域の1単位単価 × 負担割合
2026年7月時点の主な基本単位は次のとおりです。実際の円額ではありません。
| サービス区分 | 計画上の標準時間 | 基本単位 |
|---|---|---|
| 身体介護 | 20分未満 | 163単位 |
| 身体介護 | 20分以上30分未満 | 244単位 |
| 身体介護 | 30分以上1時間未満 | 387単位 |
| 身体介護 | 1時間以上 | 567単位。以後30分ごとに82単位を加算 |
| 生活援助 | 20分以上45分未満 | 179単位 |
| 生活援助 | 45分以上 | 220単位 |
| 通院等乗降介助 | 1回 | 97単位 |
時間は、単に当日の滞在時間を時計で測ったものではなく、ケアプランと訪問介護計画に位置付けた標準的な時間で算定します。
訪問介護の地域単価は、事業所所在地の地域区分により原則1単位10.00〜11.40円です。さらに早朝・夜間・深夜、2人介助、初回、緊急時、事業所の体制や処遇改善等の加算が影響します。
負担割合証に応じて、保険対象分は原則1割・2割・3割負担です。支給限度額を超えた部分と保険外サービスは、原則として全額自己負担になります。

要支援1・2の訪問サービス料金
要支援1・2と事業対象者は、原則として市区町村の介護予防・日常生活支援総合事業による訪問型サービスを利用します。
自治体によって、従前相当、基準を緩和したサービス、住民主体の支援、短期集中型など、用意する内容が異なります。月額方式か1回方式か、利用回数、自己負担、加算、減免も全国一律ではありません。
旧記事にあった「週1回なら月約1,200円」「要支援1は週2回程度まで」といった全国共通の説明はできません。市区町村または地域包括支援センターから、最新の総合事業サービスコード表・利用料表を確認してください。
総合事業の仕組みと料金の確認方法は、通所型サービスの記事でも詳しく説明しています。

訪問介護を利用するまでの流れ
- 市区町村の介護保険窓口または地域包括支援センターへ相談する
- 要介護認定を申請する。総合事業のみの場合は基本チェックリスト等の経路も確認する
- 本人・家族の困りごと、できること、生活目標を整理する
- ケアプランまたは介護予防ケアマネジメントを作成する
- 複数の事業所について対応内容と費用を確認する
- 重要事項説明を受け、契約する
- 訪問介護計画に基づき利用を開始する
- 生活状況の変化に応じて内容・回数を見直す
介護保険の申請からサービス利用までの流れは、次の記事で解説しています。


相談時に伝えること
- 本人が困っている動作と、できる動作
- 希望する支援と曜日・時間帯
- 転倒、認知症、服薬、食事、排せつ等の心配
- 同居家族の心身状態、就労、不在時間、介護負担
- 家族・地域・他サービスで対応できること
- 支援がなければ本人の生活に何が起きるか
担当ケアマネジャーへ相談するコツや、担当変更の手順は次の記事で解説しています。

契約前のチェックリスト
- 身体介護・生活援助の具体的な内容
- 対応できない家事と、保険外サービスの有無
- 曜日、時間、担当者変更、遅刻時の対応
- 基本単位、地域単価、事業所が算定する加算
- 1回・1か月の自己負担見込み
- 支給限度額を超える可能性と全額負担分
- キャンセル料の金額、連絡期限、免除条件
- 通常地域外の交通費、通院時の運賃
- 事故・紛失時の対応、苦情窓口、解約条件
キャンセル料や交通費に全国統一額はありません。「規定料金」とだけ書かれている場合は、契約前に円額と発生条件を確認します。
利用開始後に見直すこと
- 本人ができることまで代行していないか
- 必要な支援が時間内に収まっているか
- 本人・家族と事業所で支援内容の認識が一致しているか
- 請求額が説明・見積もりと一致しているか
- 転倒、体調、認知機能、家族負担に変化がないか
- 訪問看護、通所介護、福祉用具等との組み合わせが適切か
よくある質問
家族と一緒に食べる料理も作ってもらえますか?
介護保険の生活援助は利用者本人のための支援です。家族分を含む調理は原則対象外です。本人分との分け方や保険外サービスの有無を事業所へ確認してください。
同居家族が働いていれば生活援助を使えますか?
就労だけで自動的に利用できる、または利用できないとは決まりません。本人・家族の状態、不在時間、家事能力、援助がない場合の影響を確認して個別に判断します。
毎回同じヘルパーが来ますか?
事業所の勤務体制、休暇、緊急対応等により担当者が変わる場合があります。複数担当者で情報共有する方法、希望の伝え方を契約前に確認してください。
短い時間でも利用できますか?
短時間の身体介護には要件があります。単に希望時間だけで決まるのではなく、本人の状態、ケアプラン、訪問介護計画、前後のサービス間隔等を確認します。
掃除だけ自費で追加できますか?
介護保険外サービスを提供する事業所もあります。介護保険サービスと時間・料金・契約を明確に分け、全額自己負担額を事前に確認してください。
まとめ
- 要介護1〜5は介護保険の訪問介護、要支援者等は総合事業が中心
- 身体介護・生活援助・通院等乗降介助は目的と算定方法が異なる
- 介護保険で利用できるのは、本人の日常生活に必要な支援
- 同居家族の有無だけで生活援助の可否を決めない
- 料金は基本単位、地域単価、加算、負担割合で変わる
- 支援内容と1か月の見積もりを契約前に書面で確認する
訪問介護は、本人が自宅で続けたい生活を支えるサービスです。「何をしてもらうか」だけでなく、「その支援でどのような生活を続けたいか」を本人・家族・ケアマネジャー・事業所で共有しましょう。
参考にした公的情報
- 訪問介護(ホームヘルプ)(厚生労働省)
- 介護給付費単位数表(厚生労働省)
- 介護サービス関係Q&A集(厚生労働省)
- 居宅サービス計画書標準様式・記載要領(厚生労働省)
- 原則として医行為ではない行為について(厚生労働省)
- 介護予防・日常生活支援総合事業(厚生労働省)
- 介護サービス利用までの流れ(厚生労働省)
本記事は2026年7月18日時点の公的情報をもとにした一般的な解説です。実際に利用できる内容、単位、加算、自己負担、総合事業の仕組みは、本人の状態、ケアプラン、事業所の体制、市区町村、制度改正等により異なります。個別の可否と料金は、担当ケアマネジャー、訪問介護事業所、市区町村の介護保険窓口へご確認ください。


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