2025年7月第2週は、NISA口座でCAC Holdings(以下、CAC HD)を1株、MCJを3株購入しました。購入額はCAC HDが1,959円、MCJが3,783円で、合計5,742円です。この記事固有の答えを先にまとめると、購入時の会社予想配当を使った年率換算の配当見込みは合計232円、取得額に対する加重平均利回りは約4.04%でした。ただし、これは毎年232円を受け取れるという意味ではありません。特にMCJはその後、MBOに伴って配当予想を44円から0円へ修正し、株主優待を廃止したうえで、2026年6月16日に上場廃止となりました。
この記事で検証すること
- 1株・3株の購入額と、購入時の会社予想配当に基づく利回り
- 「10年以上非減配」「連続増配」を普通配当と記念配当に分けた場合の見え方
- 自己資本比率だけでは判断できない、配当性向・業績・事業集中のリスク
- MCJの当時の優待条件、誤記の訂正、その後の廃止と上場廃止
- 同じような少額購入を考えるときに使える購入前チェック手順
5,742円を投資する前提
今回の5,742円は、毎月の家計、高金利の負債、生活防衛資金、近い将来の支出を確保した後の余剰資金として記録しています。長期資産形成の中心は低コストで広く分散された投資信託とし、企業固有の減配、優待廃止、上場廃止などの影響を受ける個別株は補助的な位置づけです。
購入結果と再計算
| 銘柄 | 口座 | 株数 | 単価 | 購入額 | 購入時の前提配当 | 想定利回り |
|---|---|---|---|---|---|---|
| CAC HD(4725) | NISA | 1株 | 1,959円 | 1,959円 | 1株100円 | 約5.11% |
| MCJ(6670) | NISA | 3株 | 1,261円 | 3,783円 | 1株44円 | 約3.49% |
| 合計 | NISA | 4株 | - | 5,742円 | 年232円相当 | 約4.04% |
計算は、CAC HDが1株×1,959円=1,959円、MCJが3株×1,261円=3,783円、合計は1,959円+3,783円=5,742円です。購入時点で公表されていた年間配当予想を使うと、CAC HDは100円÷1,959円×100=約5.1046%、MCJは44円÷1,261円×100=約3.4893%となります。2銘柄の年率換算配当は100円+44円×3株=232円、232円÷5,742円×100=約4.0404%です。記事内の約5.1%、約3.49%という表示は、この前提なら計算上整合します。
合計利回りは、約5.11%と約3.49%を足して2で割った単純平均ではありません。購入額の構成はCAC HDが1,959円÷5,742円=約34.1%、MCJが3,783円÷5,742円=約65.9%なので、購入額の大きいMCJの利回りがより強く反映されます。比較するときは、各銘柄の利回りの平均ではなく、合計配当見込みを合計購入額で割るほうが、実際に投じた金額に対する見込みを表せます。なお、売買手数料が発生する取引では、その費用も取得コストに含めて考えます。
年率換算と初回に受け取れる配当は別
上の232円は、年間配当予想を取得額で割った比較用の数字です。実際の受取額は、購入日が配当の基準日より前か、基準日に保有しているかで変わります。CAC HDの中間配当の基準日は6月30日で、今回は7月第2週の購入なので、2025年の中間配当50円の対象にはなりません。購入時点で初回に受け取れる可能性があったのは、保有を続けた場合のCAC HDの期末50円と、MCJの期末44円×3株=132円、合計182円でした。さらにMCJの44円予想は後に0円へ修正されています。したがって、年率換算232円、購入直後に見込めた初回分182円、その後の会社決定を反映した金額は同じではありません。
購入銘柄その1:CAC HD
【証券コード】4725 【銘柄名】CAC Holdings
- 購入口座:NISA口座
- 購入株数:1株
- 購入単価:1,959円
- 合計購入額:1,959円
- 購入時の前提配当:2025年12月期会社予想100円(中間50円、期末50円)
- 購入時想定利回り:約5.11%
購入時点で確認した配当履歴
2025年7月の購入時点では、2024年12月期の年間配当は90円で確定し、2025年12月期は100円の会社予想でした。2023年80円、2024年90円、2025年予想100円なので、「直近2年増配」は、2024年の実績と2025年の予想を指すなら確認できます。ただし、2025年分は購入時には予想であり、確定額ではありませんでした。
「10年以上非減配」は、普通配当と年間配当総額を分ける必要があります。公式の長期データでは、年間配当総額は2014年32円、2015年32円、2016年40円、2017年36円と推移しています。2016年の40円には創立50周年の記念配当8円が含まれており、年間総額だけを見ると翌2017年は40円から36円へ減っています。一方、普通配当は2016年32円から2017年36円へ増えており、普通配当ベースでは2014年以降、購入時点まで10年以上減配していません。元の「10年以上減配なし」は、正確には「普通配当ベースで10年以上非減配」と書くのが適切です。
自己資本比率約70%をどう見たか
購入時に確認できた2024年12月期の自己資本比率は68.3%で、「約70%」という表現はおおむね合っています。同じ期の配当性向は49.6%でした。私は財務の厚みを感じる材料の一つとして見ましたが、自己資本比率が高いだけで保有が安全になるわけではありません。自己資本には換金しにくい資産も含まれ、将来の利益や営業キャッシュフロー、案件採算を保証する数字でもないからです。
CAC HDの公式資料が挙げる主なリスクには、競争激化、特定顧客・業種への依存、海外事業の政治・経済・為替、企業買収、人材確保、情報セキュリティ、不採算プロジェクトなどがあります。ITサービス企業では、受注が取れても開発工数が想定を超えると採算が悪化します。配当利回りを見るときも、売上や利益だけでなく、営業キャッシュフロー、配当性向、案件の採算、海外事業やM&Aの進捗を合わせて確認する必要があります。
株主優待
購入時点でCAC HDは株主優待を実施していませんでした。今回の購入判断では、優待価値を利回りに足していません。配当も優待も会社の判断で変更されるため、継続を前提に家計の固定収入へ組み込まないようにします。
購入銘柄その2:MCJ
【証券コード】6670 【銘柄名】MCJ
- 購入口座:NISA口座
- 購入株数:3株
- 購入単価:1,261円
- 合計購入額:3,783円
- 購入時の前提配当:2026年3月期会社予想44円
- 購入時想定利回り:約3.49%
連続増配は普通配当ベースで確認
MCJの公式中期経営計画では、2025年3月期まで普通配当が12期連続増配と説明されています。2025年3月期の普通配当43円に対し、購入時点の2026年3月期予想は44円だったため、予想どおりなら13期連続増配になる前提でした。したがって、「10年以上連続増配」は普通配当については公式資料で確認できます。
ただし、年間配当総額は2024年3月期57円から2025年3月期43円へ減っています。2024年の57円は普通配当37円と記念配当20円の合計で、2025年の43円は普通配当です。記念配当を含む総額で「10年以上非減配」と書くことはできません。この違いは小さく見えても重要で、配当履歴を調べるときは、普通配当、記念配当、特別配当を分けて見る必要があります。
自己資本比率と事業集中
2025年3月期の自己資本比率は66.6%で、「60%以上」という主張は確認できました。同じ期の配当性向は30.1%です。配当性向だけを見れば余力があるように見えましたが、配当方針は業績成果配分型であり、配当額の保証ではありません。また、2025年3月期の売上高207,171百万円のうち、パソコン関連事業は200,761百万円で、計算すると約96.9%です。区分上はパソコン関連事業への集中度が高く、PC需要、為替、部材価格、在庫、欧州市場などの影響を受けやすい点を確認しておく必要がありました。
株主優待の誤記と当時の条件
元記事の「パソコンワインコイン診断サービス」は誤記で、正式名称は「パソコンワンコイン診断サービス」です。2025年3月期の公式条件は、2025年3月31日時点で100株以上を保有する株主に利用券2枚、合計1,000円相当を贈るという内容でした。1,000株以上では、この利用券に加えて、1万円相当のグループ製品・飲食料品などから1点、または公益財団法人への寄付を選べる仕組みでした。
今回の購入は3株なので、100株以上という条件を満たしません。1株でも3株でも優待の対象外です。購入単価1,261円が変わらないと仮定すると、100株には126,100円が必要で、3株からはあと97株、122,317円分が必要でした。優待1,000円相当だけを理由に買い増すと、投資額と一社への集中が大きく変わります。優待は「もらえるか」だけでなく、必要株数、基準日、保有期間、必要投資額、使い切れるかまで確認する必要があります。
その後、配当は無配へ修正され、優待も廃止
ここからは購入時には分からなかった、その後の情報です。MCJは2026年2月5日、MBOの公開買付けが成立することを条件に、2026年3月期の配当予想を44円から0円へ修正し、2026年3月期から株主優待を廃止すると公表しました。2025年3月期の優待が最後となり、2026年3月31日基準の優待は実施されていません。その後、株式併合に関する議案が承認され、MCJ株式は2026年6月16日に上場廃止となりました。
これは会社の事業が直ちに悪化したという話とは別ですが、少数株主にとっては配当・優待・売買環境が大きく変わる出来事です。購入時に確認した連続増配、自己資本比率66.6%、配当性向30.1%だけでは、この結果を防いだり保証したりできませんでした。「利回りが高い」「増配が続いた」「自己資本比率が高い」という情報は判断材料の一部であり、安全性の証明ではないと分かります。なお、この記事には私が公開買付けへ応募したか、途中で売却したかの記録がないため、最終的な売買損益まではここで確定しません。
2銘柄を同じ基準で比較する
| 確認項目 | CAC HD | MCJ |
|---|---|---|
| 購入時利回りの前提 | 2025年12月期予想100円 | 2026年3月期予想44円 |
| 購入時の最新自己資本比率 | 68.3% | 66.6% |
| 購入時の最新配当性向 | 49.6% | 30.1% |
| 配当履歴の注意 | 2016年に記念配当8円。普通配当ベースでは10年以上非減配 | 2024年に記念配当20円。普通配当は2025年まで12期連続増配 |
| 事業上の主な確認点 | 案件採算、顧客・業種依存、海外、M&A、人材 | パソコン関連事業への集中、PC需要、為替、部材、在庫 |
| 優待 | なし | 当時は100株以上。3株は対象外。現在は廃止 |
| 現在確認できる大きな変更 | 2025年配当100円実績、2026年100円予想 | 2026年配当0円、優待廃止、上場廃止 |
CAC HDの購入時利回りはMCJより高い一方、配当性向も高めでした。MCJは配当性向が相対的に低くても、MBOという別の要因で配当と優待が変わりました。利回りだけを横に並べると見落とす情報があります。私は、利回り、配当性向、営業キャッシュフロー、事業の集中、会社の資本政策を同じ表で見るほうが、購入理由を後から検証しやすいと感じました。
年間配当見込み画像の読み方


画像は、この2銘柄だけではなく、当時のポートフォリオ全体について、税引き前49,773円、税引き後41,768円という年間配当見込みを表示したものです。もう少しで税引き前5万円という区切りが見えたことは、積み重ねを実感できて素直にうれしく感じました。ただし、アプリの年間配当見込みは確定した受取額ではありません。会社予想の修正、増配・減配・無配、売買、基準日前後の保有状況、外国税、NISAか課税口座か、配当金の受取方法などで変わります。MCJの44円から0円への修正は、画像の数字を断定できない具体例です。
NISA口座で国内上場株式の配当を非課税にするには、証券会社を通じて受け取る「株式数比例配分方式」が必要です。発行会社から直接受け取る方式などでは、NISA口座の株式でも配当が課税扱いになる場合があります。画像の「税引き後」はアプリの設定による試算なので、実際の口座区分と受取方法が合っているかは証券会社の設定画面でも確認します。
購入前に使う7つのチェック手順
- 家計を先に分ける:毎月の収支、高金利負債、生活防衛資金、近い将来の支出を確認し、残った余剰資金だけを投資額にする。
- 最新の会社予想を開く:まとめサイトの利回りをそのまま使わず、会社の決算短信や配当リリースで1株配当を確認する。予想か実績か、普通配当か記念配当かも分ける。
- 自分で利回りを計算する:1株配当÷購入単価×100で計算する。複数銘柄では、各銘柄の予想配当額を合計し、合計購入額で割る。
- 初回の権利を確認する:年間配当額だけでなく、基準日と購入日を照合する。年率換算利回りと、最初の1年に実際に受け取れる可能性のある金額を分ける。
- 配当の持続性を確認する:配当性向、利益、営業キャッシュフロー、有利子負債、配当方針を見る。自己資本比率だけで結論を出さない。
- 一社固有のリスクを確認する:売上が特定の事業・顧客・地域に偏っていないか、為替、原材料、在庫、人材、M&A、不採算案件など何が利益を動かすかを有価証券報告書や統合報告書で読む。
- 優待と出口を別に確認する:必要株数、基準日、継続保有条件、必要投資額、利用価値、変更履歴を確認する。優待や配当がなくなっても保有理由が残るか、売却条件も購入前に書いておく。
この手順を今回に当てはめると、CAC HDは年間100円予想でも7月購入のため中間50円は初回対象外、MCJは3株では100株以上の優待条件を満たさず、普通配当の連続増配が後の44円を保証しなかった、と整理できます。数字を集めるだけでなく、自分の購入日、株数、口座に置き換えるところまでが購入前チェックです。
現在確認できる情報と今回の振り返り
2026年7月18日時点で確認すると、CAC HDの2025年12月期配当は年間100円で確定し、自己資本比率は65.6%、配当性向は52.3%でした。2026年12月期は年間100円の会社予想です。購入時の100円予想は結果として年間額では実現しましたが、今後も同額以上が続く保証はありません。2025年は営業利益が前期比で減少しており、配当だけでなく本業とキャッシュフローの確認を続けます。
MCJは2026年3月期の売上高と営業利益が増え、自己資本比率も68.6%でしたが、MBOに伴って期末配当は0円、優待は廃止となり、株式は上場廃止となりました。業績が伸びていても、少数株主への還元や上場状況が別の理由で変わることがあります。今回の記録から私が残したい答えは、「高利回りだから安全」でも「連続増配だから次も増配」でもありません。少額購入でも前提を数字で残し、予想と実績、普通配当と記念配当、購入時と現在を分けて振り返ることが大切だということです。
参照した一次資料
- CAC HD:2024年12月期剰余金の配当と2025年12月期配当予想
- CAC HD:CAC REPORT 2025
- CAC HD:配当金推移
- CAC HD:2025年12月期決算短信
- MCJ:2025年3月期決算短信
- MCJ:2026年3月期-2028年3月期中期経営計画
- MCJ:2025年3月期株主優待実施に関するお知らせ
- MCJ:2026年3月期配当予想の修正(無配)と株主優待制度の廃止
- MCJ:2026年3月期決算短信
- 日本取引所グループ:MCJの上場廃止等の決定
- 金融庁:資産形成の基本
- 国税庁:NISA制度
最後に(ご注意)
この記事は、筆者個人の購入記録と、公開資料を基にした振り返りであり、特定銘柄の購入・売却を勧めるものではありません。配当予想や株主優待は変更・廃止されることがあり、投資には価格下落や元本割れのリスクがあります。税務の扱いは口座、受取方法、個別事情で異なるため、必要に応じて税務署や税理士等へ確認してください。最終的な投資判断はご自身の状況と責任において行ってください。


コメント