はじめに
はじめまして。地域包括支援センターで10年以上、高齢者やご家族の相談支援に携わっている社会福祉士の「ロック」です。
相談の現場で感じるのは、老後のお金は単に「いくら貯めれば安心か」という問題ではないことです。大切なのは、介護や通院が必要になったときに、自分や家族が納得できる選択肢を残しておくことです。
老後のお金は、不安をあおるためではなく、将来の選択肢を守るために備えるものです。まずは「毎月の支出」「年金などの収入」「困ったときの相談先」の3つを確認しましょう。
この記事でわかること
- 高齢者支援の現場で感じる「お金の壁」
- 老後のお金を考えるときの3つの手順
- 介護が始まる前から相談してよい窓口
高齢者支援の現場で感じる「お金の壁」
地域包括支援センターには、介護だけでなく、通院、住まい、家族関係、生活費など、さまざまな相談が寄せられます。公的な制度につながっても、交通費や日用品費など、暮らしの中には自分で負担する費用が残ります。
「通院に付き添える家族がいない。タクシー代が毎月かかり、年金生活では負担が重く、受診を控えようか迷っている」
これは、私が実際に接してきた複数の相談をもとに、個人が特定されないよう内容を組み替えた一例です。少額に見える出費でも、毎月の家計に余裕がなければ、健康や生活の選択に影響します。
一方で、本人や家族だけで抱え込まず早めに相談すると、利用できる制度や地域の支援、負担を抑える方法が見つかることもあります。制度は状況や自治体によって異なるため、インターネットの情報だけで決めず、住んでいる地域の窓口で確認することが大切です。
老後の「豊かさ」は、選べること
私が考える豊かな老後とは、ぜいたくをすることだけではなく、自分の希望に近い暮らし方を選べることです。
- 体調が悪いとき、費用だけを理由に受診を諦めずに済む
- 在宅生活を続けるか、施設を検討するかを家族と話し合える
- 家族だけで無理をせず、必要な介護サービスを検討できる
そのために必要なのは、大きな目標額をいきなり決めることではありません。今の家計と将来の収入を知り、使える制度と相談先を確認しておくことが出発点です。
老後のお金を考える3つの手順
1.毎月の生活費を把握する
まず、住居費、食費、水道光熱費、通信費、保険料など、普段の支出を1か月分だけ書き出します。完璧な家計簿は必要ありません。通院の交通費や家の修繕費など、毎月ではない支出も別にメモしておくと、必要なお金が見えやすくなります。
2.年金や今後の収入を確認する
現役世代は、ねんきん定期便や日本年金機構の「ねんきんネット」で、将来の年金見込額を確認できます。見込額は条件によって変わるため、確定額ではなく、生活設計を考えるための目安として使いましょう。
3.介護・医療・暮らしの相談先を決める
親の物忘れが増えた、足腰が弱ってきた、介護費用が心配といった段階でも相談できます。地域包括支援センターは、市町村が設置する高齢者の総合相談窓口です。介護認定を受けていなくても、本人や家族が相談できます。
「まだ介護ではないから早い」と待つより、困りごとが小さいうちに相談先を知っておく方が、選べる支援は増えやすくなります。
今日できる確認リスト
- 直近1か月の生活費を大まかに書き出す
- ねんきん定期便、または年金見込額を確認する
- 親と「どこで、どのように暮らしたいか」を一度話す
- 親が住む地域の地域包括支援センターを調べる
全部を一度に行う必要はありません。まず一つ確認し、わからないことをメモするだけでも準備は前に進みます。
このブログで伝えていくこと
このブログでは、介護保険の基本、家族介護で困りやすい点、老後のお金の考え方を、社会福祉士としての現場経験と筆者自身の家計・投資の記録を分けて発信します。投資記録は成功例として勧めるものではなく、一個人の振り返りとして掲載します。
介護保険を利用するまでの流れは、「介護保険の利用までの流れ~前編~」から順にまとめています。運営者の経歴や記事を書く理由は、プロフィールでご確認いただけます。
参考にした公的情報
まとめ
老後のお金に一つの正解はありません。家族構成、住まい、健康状態、希望する暮らし方によって、必要な準備は変わります。
だからこそ、まずは支出・収入・相談先の3つを見えるようにすることが大切です。早めの確認は、不安を増やすためではなく、将来の選択肢を守るための行動です。
制度や負担額は、地域や本人の状況によって異なります。本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の判断が必要な場合は、お住まいの自治体、地域包括支援センター、年金事務所などにご相談ください。
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