株の成行注文と指値注文はどう違う?価格と注文が成立する条件の巻

株価チャートを見ながら成行注文と指値注文を比較する投資家のイラスト 投資に関する知識や考え方

株の成行注文と指値注文の違いは、何を優先するかです。成行注文は値段を決めず、売買の成立を優先します。指値注文は「買う上限」または「売る下限」を決め、価格を優先します。成行は想定外の価格で約定する可能性があり、指値は希望価格に届かず約定しない可能性があります。どちらかが常に正解ということではありません。

  • 注文受付は売買成立ではなく、成立した状態を「約定」という
  • 成行注文は指値注文より優先されるが、希望価格を守る注文ではない
  • 指値注文は指定価格より不利な価格では約定しないが、未成立や一部約定がある
  • 同じ価格の注文は原則として早い注文が優先される
  • 寄付や引けでは、ザラバと異なる板寄せ方式で価格を決める

この記事では、東京証券取引所に上場する国内株式の現物取引を主な例に、注文から約定までを整理します。信用取引、単元未満株、PTS、外国株では取引時間や注文条件が異なります。注文画面の名称、有効期間、使える条件も証券会社ごとに異なるため、発注前に利用先のルールを確認してください。

注文を出してから受渡しまでの流れ

株を注文すると、すぐ保有株になるとは限りません。証券会社が注文を受け付け、取引所で反対側の注文と条件が合い、約定して初めて売買契約が成立します。国内株式の仕組みそのものを先に確認したい方は、株式と債券の違い・主なリスクもご覧ください。

  1. 注文内容を決める:銘柄、売り・買い、数量、成行・指値、指値価格、有効期間、執行条件を指定する
  2. 証券会社が受け付ける:取引余力などの確認後、注文が市場へ送られる
  3. 取引所で注文を付け合わせる:価格優先・時間優先などのルールに従って相手注文を探す
  4. 約定する:価格と数量が決まり、売買契約が成立する
  5. 受渡しを行う:東証の普通取引では、原則として約定日の2営業日後に株式と代金を受け渡す

注文照会に「受付済」「注文中」と表示されても、まだ約定していない場合があります。「全部約定」は全数量が成立した状態、「一部約定」は一部だけが成立した状態です。「失効」は有効期限や執行条件により注文の効力がなくなった状態で、「取消」とは異なります。表示名は証券会社ごとに違うため、残数量と約定明細まで見ます。

成行注文と指値注文を比べる

確認項目成行注文指値注文
価格の指定しないする
買い注文その時点の優先する売り注文と順に約定指定価格以下なら約定の可能性がある
売り注文その時点の優先する買い注文と順に約定指定価格以上なら約定の可能性がある
主に優先すること売買成立価格の上限・下限
主な注意点想定外の価格、一部約定、未成立未成立、一部約定、有効期限切れ

成行注文は価格を約束する注文ではない

例えば、架空のA社株の売り注文が「1,000円で100株」「1,005円で200株」と並んでいるとします。ここで200株の成行買いを出し、ほかの注文が変わらなければ、100株は1,000円、残り100株は1,005円で約定する可能性があります。平均約定単価は1,002.5円です。手数料はこの例に含めていません。

注文画面に見えた価格と数量は、その瞬間の情報です。注文が市場へ届くまでに板が変わることもあります。売買が少ない銘柄、寄付直後、重要発表の直後などでは、最良気配の次の価格が大きく離れている場合があります。「今の株価付近で必ず全株買える」という意味ではないため、板の薄さと注文数量を確認します。

指値注文は指定価格そのもので約定するとは限らない

同じ場面で200株を1,000円の指値で買うと、1,000円以下の売り注文だけが対象です。100株だけ約定し、残り100株は未約定で残る可能性があります。逆に、より有利な売り注文があれば、買い指値より安く約定する場合があります。買い指値は支払う価格の上限、売り指値は受け取る価格の下限と考えると整理しやすくなります。

価格を守れることと利益が出ることは別です。指値どおりに買えても、その後に株価が下がることはあります。成行・指値は注文方法であって、企業価値や投資目的を判断する方法ではありません。短期の値動きを追う前に、投資と投機を分ける7項目で資金と目的も確認してください。

価格優先と時間優先で約定の順番が決まる

価格優先の原則

売り注文では低い価格が高い価格より優先され、買い注文では高い価格が低い価格より優先されます。成行注文は価格を指定しないため、指値注文より優先します。例えば990円と995円の買い指値があれば995円が先、1,000円と1,005円の売り指値があれば1,000円が先です。

時間優先の原則

同じ価格の指値注文では、原則として早く市場に受け付けられた注文が優先されます。995円の買い注文がすでに1,000株並んでいる後に同じ995円で注文すると、先に並んだ注文から約定します。株価が995円になっただけでは、自分の注文まで必ず回ってくるとは限りません。

ただし、立会開始時などは時間優先の例外があります。寄付の価格を決める板寄せでは、価格決定前に出された注文を同時注文として扱う場面があります。夜間に早く入力したから朝一番で必ず約定する、という仕組みではありません。

寄付・引け・ザラバでは価格の決め方が違う

東証の現物市場は、前場が9時から11時30分、後場が12時30分から15時30分です。寄付や引けなどでは注文を集め、売りと買いが最も合う一つの価格を求める「板寄せ方式」を使います。寄付と引けの間のザラバでは、入ってきた注文を価格優先・時間優先で順に付け合わせます。

後場は15時25分にザラバが終わり、15時30分までの5分間がプレ・クロージングです。この間は注文の受付や変更・取消を行いますが、売買は成立しません。15時30分に大引けの板寄せを行います。相手注文や成立条件が足りなければ、寄付・引けを指定した注文でも約定しないことがあります。

注文条件一般的な意味確認点
寄付前場または後場の寄付きに執行する寄付で成立しなければどう扱うか
引け前引けまたは大引けに執行する引けで価格が成立しない場合がある
不成立会中は指値、成立しなければ引けで成行に変える途中から成行になる価格リスク
IOC指定価格か、それより有利な価格で直ちに約定できる分だけ成立させ、残りを失効させる全数量が成立するとは限らない

使える名称・条件は証券会社によって異なります。有効期間を含め、注文確認画面と取引ルールを読みます。

未成立・一部約定が起こる理由と確認方法

指値価格に相場が届かない場合だけでなく、価格に届いても自分より優先する注文で相手数量を使い切れば未成立になります。300株の買い注文に対し、その条件で売りたい株が100株しかなければ、100株だけの一部約定もあり得ます。売買停止、特別気配、制限値幅、有効期限、執行条件も結果に影響します。

  1. 注文照会で、約定数量・平均約定単価・未約定数量を確認する
  2. 注文の有効期間と、残数量が市場に残っているかを確認する
  3. 取消・訂正をする場合は、対象が未約定分だけかを確認する
  4. 約定後は取引報告書で、銘柄、売買、数量、単価、手数料、受渡代金を照合する

約定済みの部分は、原則として自己都合では取り消せません。一部約定後に残りを取り消しても、成立済みの売買は残ります。また、訂正や出し直しで時間上の優先順位が変わる場合があります。画面だけで判断できないときは、重ねて注文を出す前に証券会社へ確認しましょう。

注文前後の7項目チェック

  1. 目的:なぜ今この株を売買するのか
  2. 銘柄:会社名と証券コードは一致しているか
  3. 売買区分:買いと売りを取り違えていないか
  4. 数量:売買単位、注文株数、概算代金は無理のない範囲か
  5. 価格:成立と価格のどちらを優先し、想定外の価格を許容できるか
  6. 期間・条件:本日中、期間指定、寄付、引けなどを理解したか
  7. 注文後:受付で止まらず、約定数量、単価、残数量まで確認したか

社会福祉士の視点|使う時期が決まったお金を分ける

医療・介護・生活費など、必要になる時期を自分で選べないお金があります。そのお金を株式に入れると、必要な日に指値が成立せず、成行で急いで売る場面が生じるかもしれません。注文方法を工夫しても、株価下落や流動性の問題はなくなりません。近く使うお金は預貯金などで分け、値動きのある資産には長く使わない余裕資金を充てることが先です。

筆者は2026年9月時点で、インデックス投資を老後資金づくり、個別株を目の前の生活を少し豊かにする配当金づくりと位置づけています。これは筆者の現在の方針であり、万人の正解ではありません。個別株でも注文の成立を急ぐことと、配当目的で保有する企業を選ぶことは別の判断です。配当を管理する場合は、年間配当見込み・税引後概算・受取実績の分け方も参考にしてください。

よくある質問

成行注文なら必ず全株約定しますか?

必ずではありません。成行注文は指値注文より優先され、一般に成立しやすい注文ですが、反対注文の不足、特別気配、ストップ高・ストップ安、売買停止、執行条件などにより、一部または全部が約定しない場合があります。注文照会で結果を確認してください。

1,000円の買い指値は必ず1,000円で約定しますか?

必ず1,000円になるわけではありません。1,000円以下の、買い手にとってより有利な価格で約定する場合があります。一方、相場が1,000円に触れても、先に並んだ注文が多ければ自分の注文が約定しないこともあります。

夜に注文すれば朝の寄付で優先されますか?

入力が早いだけで約定が保証されるわけではありません。寄付では板寄せ方式を使い、価格決定前の注文を同時注文として扱う場面があります。証券会社の注文受付時間や翌営業日注文への切替時刻も確認します。

未成立の注文はいつ消えますか?

指定した有効期間と執行条件によります。本日中なら通常はその取引日まで、期間指定なら期限まで有効ですが、企業行動や取引ルールによって失効する場合もあります。利用する証券会社の注文照会と失効条件を確認してください。

参考にした公的情報

まとめ|価格と成立のどちらを優先するか先に決める

  • 成行注文は成立を優先するが、約定価格は指定できない
  • 指値注文は買いの上限・売りの下限を決められるが、約定しない場合がある
  • ザラバでは価格優先・時間優先で注文を付け合わせる
  • 寄付と引けは注文を集めて一つの価格を決める板寄せ方式を使う
  • 一部約定では、成立済み数量と未約定の残数量を分けて確認する
  • 注文後は「受付済」で終わらず、約定明細と取引報告書まで確認する

次に注文するときは、確認画面で「この注文は価格と成立のどちらを優先しているか」を一文で説明してみてください。説明できなければ確定を押さず、数量、価格、有効期間、執行条件へ戻ることが誤注文を防ぐ第一歩です。

※本記事は2026年9月時点の公的情報を基にした一般的な説明であり、特定の金融商品・銘柄・売買時期・注文方法を推奨するものではありません。株式投資には元本割れがあり、注文条件や手数料、取引時間、表示方法は証券会社・市場・商品により異なります。発注前に最新の公式情報と利用先の取引ルールを確認し、最終判断はご自身の目的、家計、投資期間、リスク許容度に応じて行ってください。

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